前々回,私の友人である神川仁君が

『新解釈−羅生門』(文芸社)を上梓したことに触れた.

実は,この書の後半が漢詩の話となっている.

かねてより,漢文の大切さを公言している私としては

強い味方が一人増えたことの喜びが大きい.

著者の神川君は多趣味,多才の男で,

バイオリン,ピアノを弾けば,

囲碁は5段(確か…)の腕前,

フルマラソンを完走する・・・.

月に一回,日曜日,巣鴨のとげ抜き地蔵の境内で

「バイオリン演歌」の大道芸を披露し

参拝にきたご老人たちの喝采を浴びている.

漢文を人に勧める私も

流石に多芸多才の神川君のように

漢詩を作るまでには至らないが

この書に綴られた

彼の素直な,しかも自由奔放な発想での

漢詩との取り組みの様子は

いろいろと教えられるものがある.

題材としての花の話も面白い.

明治の文豪たちの漢籍の素養の深さについての言及も

わが意を得たりである.

漢字・漢文の威力は大なるものがあるとつくづく思う.

と同時に,漢字を見事に受容しながら,

「かな」を創り出した日本人の知恵を

改めてすごいと驚嘆し,かつ感謝の思いを新たにしたことである.

とにかく,何かと触発されること大の『新解釈−羅生門』であった.

ここに推薦する所以である.