前回、教育においてはこころが本質であることを強調した。

私が桐蔭学園で教師をしていた時代から

ずうっと付き合っている先輩に吉川義塾代表の吉川先生がいる。

彼は私と全く違うタイプなのだが

前世兄弟だったに違いないと思えるほど馬が合う。

彼のもっとも優れている点は

人間のこころを本能的に、あるいは野生的に

分かっているという点であろう。

彼の指導のすばらしさは生徒の心に響く指導をする点なのである。

彼は桐蔭時代に父母会で次のようにクラスの父母に話したことがある。

「お子さんが悪い成績を取ってきたときは、努力の足りなさを反省させてください。もし、よい成績を取ってきたときは才能の豊さを誉めてあげてください。」

これは子供の奥底のこころをわかっていないと出てこない言葉である。

今の大人でこの言葉の意味がわかる者がどれだけいるだろうか。

こうした言葉を子供に投げかけることができる大人が

どれだけいるだろうか?

表面的な成績だけを追い求める親や塾が大半をしめる時代にあって

本当に子供のこころを見つめて指導できる教育者は貴重な存在になりつつある。

教育の本質を自然な感性で理解できる本物の教師の輪を

吉川先生とともに広げていきたいと思っている。