GHS理科主任天野先生の『思考訓練の場としての体系化学』が

ついに完成した。

今週中には大きな書店に並ぶことだろう。

昨年末に出版の予定であったから、

鶴首して待っていた受験生には申し訳なかったが

入念な準備がなされた分、

厚さと内容の豊かさからすると、たいへん安価になったと思う。

帯には“名著再来”とある。

各方面での誇大なCM表現に食傷気味の現代人のなかには

マユツバと思う向きがあるかもしれないが、

世の中には時として“本物”があるものである。

“本物”は読めば読むほどその良さが分かってくるものであり、

“本物”のよさは、自分が本物と格闘することを通して

自らが本物へ成長していくことによって分かっていくべきものである。

化学を最初から

『思考訓練の場としての体系化学』で学ぶことになった人のほうが

すんなりものにしていけるだろうと思う。

他の参考書で学んできた人ほど

この書の学びに苦労するかもしれない。

しかし、逆にそういう人は

この書が他の参考書と何が違うのかを徹底的に問うことで

この書の本当のよさを理解できていくチャンスがある。

この書は、今までの参考書とは確かに違うのである。

化学の大学受験参考書であり、

見事な化学の内容を展開しながら

同時に化学にとどまらないものを提供している。

この書がその書名の通り

大学受験という限られた条件の中で可能な

最高の思考プロセスを提示していることに気づき至った人は

自らの受験体験を大きな飛躍とすることができると思う。

かつて我々が受験生のときに

多田先生の『思考訓練の場としての英文解釈』に見たように、

この書を通して受験勉強の奥にあるものに

一人でも多くの受験生が開眼し、それを獲得してくれることを

心から期待するものである。