仕事柄、多くの親に接する。

今度の中間テストの成績がどうのこうのと

血走って話してくる親がいれば、

後で悔いが残らないように

自分の決断を大事にしてあげたい

と話す親もいる。

視野の広さ、愛情の次元が

親によって随分と違う。

「子供は親を選べない」という言葉が

切実に響く。

今年沖縄から来ていた浪人生のNさんのお母様には

感心させられたことである。

夏に面談に見えた時に、

「今年は勉強が楽しいようです。

それが何よりです。」と話すだけで、

娘の成績には一切興味を示さない。

その頃はまだ点数も低かったのであるが

結局、Nさんは昨年よりセンター試験の点数が

184点も伸び、琉球大学医学部を狙える位置に来た。

驚異的な躍進である。

彼女の努力の賜物ではあるが、

お母様の懐の深さが資するところ大だと私は思う。

大人がどういうスタンスを持つべきなのか、

大いに学ぶところがある。

先日、都内の有名進学中学の合格発表があり、

早速合格者の家庭を追うテレビ番組があり、

得々と我が家の合格戦略をカメラの前で語る親がいる。

「違うんじゃないかなあ…」

一人、テレビの前でつぶやいてしまった。

世直しはなかなかたいへんである。

大人がもう少し高い次元でものを見ることが

当たり前となるような

そんな社会を何とか創りだしたいものである。