10日は国立大学前記日程の合格発表最終日であった。

東大、一橋、東工大など東京の難関大学の発表が行われた。

東京大学理科?類に合格したK君が発表後、すぐに御礼に来てくれた。

東大は受験の世界ではひとつの頂点であり、

また国立大学医学部が現代の受験において俊秀が競い合う

超難関の世界であるから、

東大の医学部進学コースである東大理?が

日本の受験においてはこれ以上ない最頂点ということになる。

何しろ日本全国で選ばれし98名のみが勝ち得る頂上であるから、

東大理?と言ったら、受験を知る人々にとっては

雲上人なのである。

それだけに、東大理?合格者にもいろいろいる。

早くから受験マシ−ンと化し、

養豚場のような受験養成場で青春を過ごして理?生になるものもいる。

したがって、当然のように愚かな母親が

わが子が東大理?に入ったと得々と触れ回る世界も存在するのである。

しかし、K君はそうした愚かな世界とは無縁な

正当な、冷静な東大理?合格者であるのがうれしい。

愚かな理?合格者であれば、挨拶には及ばないと

断ったであろう。

私は直接には彼に

入試直前に現代文の指南をした。

東大は理系であっても二次試験で国語を課すのがよい。

意外に国語は差がつくのだ。

正直なところ頭がよい生徒は教えていて実に楽であり、楽しい。

こちらが教えたい大局と本質をそうしたレベルで理解してくれる。

東大で過去に出題された問題を用いながらも

この問題の答えがどうであるかではなく、

現代文とは何か、現代文を読むとはいかなることか、

東大の現代文に答えるとはいかなることか、

を教えようとするのであるが

それをそのレベルで理解し、受け取ってくれるのである。

それだけに、本人も私が教えることの本質的な凄みが分かるらしい。

こういう教え方をされたのは初めてだといい、

目を輝かして聞いてくれる。

そうした共鳴・共振する楽しさがある。

あくまで謙虚であり、本質を求める清潔な向上心を持っている

K君のような若者が東大理?に進学するならば

社会にとって喜ばしい限りである。