言葉というものは私たちが思う以上に強い力を持っている。

さりげない「ほめことば」が相手を大いに頑張らせることがよくある。

逆にこころない一言が相手に深い傷を負わせることもある。

大人であれば尾は引かないが、

子供にはあとあとまで大きな影響を持ち続けることもあろう。

だから私は子供にはあまり冗談を言ってはいけないと思っている。

大人にとっての冗談も

子供にとっては冗談にはならないからである。

へたをするとあとあとへの悪い影響として残ることもありうる。

たとえば仮に何かの弾みや冗談で親が子供に

「別に君を愛していないよ」

という意味に取られかねない言葉を発してしまったとしたら

取り返しのつかない問題を残すことになるのは必定である。

軽率だったでは済まない恐ろしい問題が芽を出したことになる。

言葉は本当に慎重でなければならない。

ところで私は比較的我慢強い方だと思っている。

苦しい時に歯を食いしばれる方だと思っている。

理由を特定することはできまいが

ただ私が小さい頃母親が

「苦しい時はこんなことで負けてたまるかと

歯を食いしばらなくてはならないんだから。」

と言っていた言葉が事あるたびに浮かんでくる。

また、何か甘ったれたことを言った時には

「そんなこと世の中では通じないんだからね。」

と真剣な顔で言われたことも何かの時にふと思い出すのである。

こうした母親の言葉は

私の精神構造にささやかならず影響を残しているように思う。

昔の人は「言霊」という表現を生み出したが

故のないことではないように思う。

言葉は魂を持つのである。

それくらい力を持っているのだ。

であれば、

ことばを是非プラスの力をもたらすものとして

活用しようではないか。

苦しい時、困難を克服したい時、

言葉の力を借りるべきである。

自分にであれ、相手にであれ、

心の奥に働きかける言葉を

是非使っていきたいものである。