あと五日・・・
世の中は、あと五日で新元号発表の話題で持ち切りの感があるが、
「あと五日・・・」と別の思いを抱いているのは、私立医学部の受験者である。
昨日、二人のGHS生に、補欠繰り上げ合格の報が届いた。
東邦大学医学部と、杏林大学医学部からである。
国立大後期試験の発表が3/20-23にかけてあり、私立医学部に合格し一応手続きをした者が、
キャンセルとなり、空いた席を補うために、補欠合格者には順次電話連絡がくる。
すでに他の大学に合格手続きをしたかの確認と入学の意思があるかの確認。
年末恒例のTV番組「戦力外通告」では、トライアウト後の期限まで携帯電話を
肌身離さず待っている場面が映し出されるが、私立医学部からの連絡もまさにその状態で・・・
いやいや、さらに厳しい。その電話に出損なうと、トライアウトと違い、その権利が
次の補欠合格者に回ってしまうものだから、一瞬たりとも気が抜けない。
そんな日々が、3/31まで続くのである。
二人とも国立医学部コースに在籍していて、国立・私立併願であるから、
当然センター試験も受験し、かなりの成績を収めながら、
しかし国立医学部の高い壁に跳ね返されてしまった。
私立大医学部一次合格は複数あったが、どちらも正規合格とはいかず
補欠繰り上がりの順番待ちとなった。
後期試験発表から一週間、失意とかすかな希望の入り混じった待ち時間を、
できたはずの問題への後悔と、来年度の身の振り方に悩みつつ過ごさねばならない。
だから、‘朗報’と表現したのである。
彼らの一年間、二年間の刻苦勉励を傍らで見てきた我々にとっても
我が事のように嬉しいことである。
彼らは、GHSのメソッドを心底信頼し、毎日毎日努力し、
決して有名進学校でない高校から自己変革と飛躍を遂げて、
国立医学部までもう一歩というところまで肉薄したからこそ、
昨今の難化著しい私立医学部に合格できたのである。
「でも補欠合格でしょ・・・」などと、夢夢、思うなかれ!!
昔(一世代前)の私立医学部と異なり、このように国立医学部志望者が併願するのが
普通となっている時代である。私立医学部と国立医学部の棲み分けは「今は昔」。
国立医学部には届かなかったが、日大医学部、杏林医学部にともに補欠合格し、
後者で繰り上がったA君の実力を見てみよう。
杏林医学部に「補欠」合格するための実力とは
ある受験サイト(https://www.minkou.jp/university/school/20203/511/)によれば、
杏林医学部に必要な実力は、
偏差値65 センター試験90%
とのことである。見て明らかなように、センター試験90%取れるような人は、
どこかの国立医学部には合格できるものだし、
杏林以外にも複数合格しているものであるから、杏林に入学手続きをしないこともある。
するとその人数分だけ、「正規合格者」が減り、
補欠合格者から順次繰り上がるのである。
では、A君のセンター試験の成績はどうだったか。
全科目での得点率は81% 。
国語と社会が足を引っ張り(国社やれよーと一年間ハッパをかけ続けたが残念ながら)、
最低目標ライン85%に届かなかった。
だから国立医学部を突破できなかったのは致し方ない。(→ブログ[9]を参照)
しかし、入試科目の英・数・理2に限ると、
英語167,数学185,物化183
535/600点で89%である。
理数系の実力は半端ない!!のである。上のデータにも合致する。
これよりも得点率が上の受験生はそうそういるものではなく、
さすがに他の医学部にも流れるだろうから、杏林センター利用入試の定員は10名しかないが、
30人以上繰り上がっての朗報となった。これで「補欠合格の価値」の大きさが分かるであろう。
「キョーリンがそんなに難しくなってるの?????ウソでしょ」
と今の親世代であれば驚くはず。
今の杏林医学部に、大変失礼な言辞ではあるが、
30年前の受験事情を知る者にとっては、文字通り「今は昔」であり、隔世の真実なのである。
では、この杏林医学部の私立医学部全体での位置はどうだろうか。
ある受験情報サイトによれば、その偏差値は
1.慶応医 73
2.慈恵医科 69
3.大阪医科 69
4.順天堂医 68
5.日本医科 68
ここまでは、昔から変わらぬ難関トップ5である。
そこからは、2番手集団として偏差値64-67に
関西医科,昭和医,国際医療福祉医,東京医科
東邦医,藤田保衛医科,兵庫医科,近畿医
杏林,東北医科薬科,久留米医
愛知医科,東京女子医科,日大医,北里医
・・・・・
がほぼ横一線、僅差であるので順位づけするのは意味がないと知るべしである。
甲子園出場校のごとく古豪も新鋭も混じり、学費値下げを敢行したところ、
大都市圏に属するところが難易度がやや上に来る。
もはや日本中探しても、偏差値50台で入れた医学部はその跡形もなく、
もうどこにも存在しない。
つまり、本物の実力をつけて、複数回受験できるチャンスをどこかでものにするしかないのである。
特に有名進学校出身ではない彼の
彼の入塾時の第一志望は「旧帝大医学部」であったのだが、
GHSのメソッドを心底信頼し、実力を伸ばしこに至った。
残念ながら、センター試験の壁、特に国社の壁に阻まれた。
二次試験の力は大学別模試では十分戦えるところまで行ったのだが・・・。
そんなハイレベルな人材が、杏林医学部に入る時代なのである。
今、そしてこれから「医学部を目指す」とはこういう戦いを勝ち抜くということだ。
医学部を志望する若者は増えている。
くり返しになるが、淡い夢や憧れだけでなんとかなる世界ではない。
その覚悟を保護者の方も本人も、
生活も、行動も、精神も、それに向かっているか改めて問うてほしい。
その上で、どんなことをしても、何年かかっても、何にでもかじりついてでも・・・
という決意があるならば、GHSの独創の教育メソッドは共鳴する。
あと三日、わずかに可能性を残すがとりあえず、GHS全体からは、
今年新たに10人の新たな医学部生を送り出したことになる。
GHSは「選抜クラスだけ」の合格率を自慢する予備校ではない。
一人が何校合格したその延べ人数をあげて、
沢山合格したように錯覚させる予備校でもない。
「無選抜、申し込み順、やる気次第」
で昨春、総数少人数制のGHSに入塾を果たした35名の塾生には2年目の生徒もいる。
合格率は10/35 28%である。約3人に一人。
一次合格や補欠までは勝ち取ったが、最終合格まで行けなかったものは他に6名。
可能性の乏しいところから、医学部に手が届くところまで来たというなら、45%。
来年の捲土重来を期すには十分な実力を獲得し、まだまだ伸び代がある。
この率を高いと見るか、低いと見るか(合格率80%などという宣伝もあるので・・・)
それは、各人の冷静なご判断に委ねたい。
単純計算では、13人に1人しか合格できないのが私立医学部入試の世界である。
*追記 3/30 来年度の塾生が実力確認の化学のテスト受けている最中、
その1人に日大医学部の補欠繰り上げの報が届いた。
「1時間以内に決めないと次の人に行ってしまう」とのこと。
テストどころではなく、電話で急遽、家族協議をして進学ということになった。
本人は、「なんとしてでも国立医学部目指して、もう一年」との意気込みであったが、
もちろん、来年同じことが起こる保証もないから、正しい判断だと思う。
少しでも早く医師になった方が、本人のため、家族のため、社会のため。
予備校も長いことやっているが、こういう場面に遭遇したのは流石に初めてである。