大手予備校からのデータ出揃う
センター試験改め、共通テストの集計結果が大手予備校からも出揃い軒並み「やや難化」との評価です。ところが入試センターも予備校も、結果としては「難化するも平均点は変わらず」とのこと。
受験生も、ご父兄も、「なんだか訳の分からないことを言っているな」と感じるのではないでしょうか。要するに、どう理解すればよい? どう判断して行動すればよい? 一番知りたいのはそこでしょう。
これについては、GHSの本部HPの、村田代表ブログで総括的なコメントがされていますで、まずはこちらをお読みください。
少し補足します。百聞は一見に如かず、次の統計グラフを見てください。駿台・ベネッセの受験サイトで公開されているデータです。
文系とは受験科目が違いますので、総合ではなく、理系のみのデータを見るべきです。着目すべき点に色付けしてみましょう。
すると、昨年の700点以上の層が減って、そのほぼ同じ面積が、700点以下の層に上乗せされた格好になっていることがわかります。だから、「平均点はあまり変わらない」のですが、上位層が減り、下位層が増えていることから「難化」したことが明らかです。(ちなみに、2019→2010へは上位層だけでなく平均点付近から上の得点者が減って30-40点分左へスライドしたことが読み取れ、年々、高得点が取りにくい出題傾向が続いています。)
そんなの関係ない!!
でも、平均点がどうこうなんて、文部行政の問題でしかなく、我々がターゲーットとする受験には何ら関係はありません。このサイトをご覧になっている方の関心事も、難関・医学部がどうなのかという点にあるはずだからです。だから、注目点を変えて加工してみます。
国公立医学部を目指す場合、センター試験では85%の得点率があることが必要条件でした。実際、それだけの得点が取れるということは、二次試験の記述式を突破する学力があることをも意味しますから、「一次試験では点数が足りなかったが、二次試験で何とか逆転だ!!」という風にはいかないものです。一発逆転を期して、背伸び的出願をして、成功した例は「無い」と思ってよいです。だって、みんな二次試験はできる層ですから逆点は困難です。つまり、高得点層は一次試験の成績のまま、順当にスライドし合格するのがふつうだということです。
さて、今回のグラフを見ると、85%=765点付近から上の層が満遍なく減っていることがわかります。これがどの程度の人数なのかは、入試センターの最終集計を待たないとハッキリしませんが、このデータ意味するところが肝心です。
狭き門の幅は?
国公立大・医学部の2020年度の定員は約5500名です。もちろん、成績優秀者が医学部に行くとは限りません。東大・京大等を第一志望とする人もいます。理1が1108人、理2が532人で合計1640人、京大理系が合計約2150名、合わせると3800人ほどです。ただし、東大・京大受験生だからと言って医学部より上だということはなくて、一次試験の得点では、東大・京大よりも難関である医学部もザラであり、また、私の知り合いの医師は「京大の理系(医学部以外)を目指していたけど、一次試験の成績が良かったので、地元の国立医学に行った」というパターンでした。これも少なからず。さらに85%以下で合格した東大・京大生もいることでしょう。もちろん、東北大や阪大などの理系でも高得点者はいるものです。それらを正確に把握するのは困難ですが、その分なども含めて、3800人程度がこの層にいると考えますと、概算では、
3800+5500=9300人
ごくシンプルに考えれば、この中に入ることが、国立医学部合格の必要条件ということができます。
今年、この上位層が減ったということは、単純計算ではグラフの縦線は以下のようにシフトすることが予想されます。
もちろん、個別ケースで見れば、悲喜交々、前後する場合、出願動向によって個々の医学部ではボーダーが上下する場合はあるでしょうが、あくまでも、シンプル考えた場合の試算です。
今年度、国立医学部に行くための必要条件は、最低82-83%の得点があることだ、ということになります。
だから、これから医学部を目指す受験生ならば、まずはこの扉をこじ開ける、できれば悠々と通過できる学力を備えることが最優先目標になります。第一の扉が開かないと、その次へは絶対に行けないのが「医学部」という門なのです。
それをふまえて、次回は、GHS長野校での、指導のメイン科目である理数科目の共通テストについてコメントをしようと思います。さらに、では、そういう学力をつけるにはどういう勉強をすればよいのかについても述べようと思います。