本試・追試と第一日程・第二日程
これまでのセンター試験では、「追試」は不可避のトラブル等による許可制であり、希望しても受けることはできませんでした。だから、追試者は少数で、問題が新聞にデカデカと載ることもなく、出題内容についてのコメントなどもなかったものです。
しかし、今回は、コロナ休校による学業の遅れ等への配慮から、生徒の判断で日程を選べるという前代未聞の試験となりました。しかも、今回からセンター試験改め、「共通テスト」の節目です。
どんな変更があるか、どんな新機軸があるか・・・それを見極めてから第二日程で勝負する=「後出しジャンケン」の方がいいんじゃないか・・・という戦略もありでしょう。だから、私の予想としては半々、少なくとも1/3くらいは第二日程に回るかと思っていたのですが、実際は・・・豈図らんや、
「第2日程を志願したのは718人で、追試に回ったのは1721人。・・・
共通テストは大学入試センター試験の後継として今年初めて実施。コロナ対策で日程が二通り設けられ、16、17日の第1日程は約48万人が受験した。」 [ https://www.jiji.com の記事より]
なんと、第二日程を志望したのは、雪や病欠で止む無く回った人数を合わせても1%をかなり下回りました。
本試・追試と第一日程・第二日程の難易
昔から、追試の方が難しいというのが常識でした。実際の問題も、少しひねくれたもの、やや応用的なもの、解きにくい感じのものは、追試に回され、優等生的・模範的的問題が本試に出るのが相場でした。というのも、受験生だけでなく、全国の高校・塾・予備校の先生たちの評価に晒されるので、なるべく良いもの、無難なものが本試にでるようになっていました。だから、追試はなるべく受けたくない、得点が上がらない・・・・そういうイメージがあったのです。
ゆえに、共通一次からセンター試験を見てきた大人にアドバイスを求めると、「無難に第一日程がいいんじゃない」となるものです。それに加えて、1月末では私立のの入試真っ只中ですから、こんな極端な偏り具合となったのではないでしょうか。
ところが私が昨日、そのフタを開けてみたら、まだ具体的には化学と物理を見ただけですが、第二日程の方が、従来のセンター試験と遜色(いや変わり)なく、どこが共通テストかな・・・と。要するに第一日程より、解きやすい、あるいは丁寧な誘導のある問題が多くを占めています。まあ、昨年までと同じです。
受験者層が違うので、後に出る平均点の比較は意味をなしません。あくまでも推測ですが、同じ受験者層であるなら、こちらの方が高得点者層が厚くなったと思われます。あぁこれなら、第二日程を選んだ方が良かった・・・でもそれは、後の祭り、結果論でしかありません。そんなのが予見できたら苦労はしないです。
まあ、要するに、作る側に立ってみると、「新テストらしさ」を打ち出すために、第一日程の方に、より新機軸、より目新しい感じのする問題が集められたのでしょう。だって、もし第二日程と問題が逆だったら、多くのコメントのように、「あまりセンター試験と変わり映えしない」、「何のための共通テストか」「制度変更の意味があるのか」「思考力だの何だの気張ってみたって、所詮ペーパーテスト、そんなに新しいことができるわけない」等々の辛辣なコメントが寄せられたでしょうから。
しかし、来年度はこんな特別措置は(コロナワクチンが予定通りすすめば)なくなるでしょうから、こんな分析も来年の参考にはならないかなと思います。
ただ一つ言えるとしたら、やはり、そんな新規な問題なんて作れませんよ、ということです。だって、第二日程では、もはやネタ切れの兆候が見えますから。 化学も物理も、他の科目も、範囲のある試験です。その範囲をしっかり深く理解すること、そして二次試験レベルの問題を解ける実力をつけることが肝要であり、それを薄めて解くやすくした「共通テスト」の対策など特別に要らないということです。
そうやって上から見下ろすと、実際、難しい問題、手が付かない問題なんて一つもないのですから。