大手予備校関係から、得点分布グラフが公開されました。「平均点」の上下ではわからない情報を読み取ることができます。[27]で述べたことですが、まあ予想通りというか、否、それ以上に効果的な「上位層削り」が遂行され、正規分布に近いものになってきています。
理系総合点の得点分布グラフ: 解析
昨年度の分析でも得点率80%越えの上位層が削られている点を指摘しましたが、今年はそれに輪を掛けた形にシフトしています。
あくまでも、図の上での概算なので、正確な統計分布表で若干補正するは必要はありますが、
- 平均点付近で折り返した形で、昨年度と今年度で、上位層(オレンジ)と下位層(赤)が対称的に入れ替わっていることが見て取れます。
- 昨年度は一昨年度と得点率80%ラインを境に上位層(青)が下(緑)にシフトしたにのに比較すると、大幅に削られ半分以下になったことがわかります。(1/22追記: データネットによると前年比38%、つまり6割減。)
- 得点率90%以上は著減し、ほんの一握り。全体の1%(2000人)にも満たないでしょう。
しかし、この分布は異常ではなく、両端ほど著減するのが、統計分布としてのあるべき姿であり、むしろ、これまで高得点者層が歪(イビツ)に膨らんでいたのが異常だったのです。上位層が「削られた」と表現しましたが、この観点からは「補正・修正」とも言えるでしょう。科目別で見ると(偏差が薄まらないので)更にわかりやくすなります。
医学部の合格水準
昨年度の試算と同様ですが、
国公立大・医学部の定員は約5500名。
医学部以外で東大・京大等を第一志望とする人もいます。
理1が1108人、理2が532人で合計1640人、
京大理系が合計約2150名、合わせると3800人程。
旧帝大の東北大・阪大などの理系でも高得点者はいます。
それらを正確に把握するのは困難ですが、医学部志望者が得点が勝る場合を考慮して、
合計4000人程度がこの層にいると考えますと、概算では、
4000+5500=9500人
理系受験生は化学選択者を参考にすると18万人程度ですから、その5%ほどです。とりあえずこの中に入ることが、国立医学部合格の必要条件といえるでしょう。
ある難関国立大医学部のデータリサーチを観ると、判定基準が25点ほど下がっています。平均点が50点下がっても、その半分しか下がらないのはさすがというべきですが、かつては85%であった目標(ボーダー)が、昨年82.5%に、そして今年は80%程度に下がったことになります。すると80%越えも2万人程度、全体の1割にも満たないでしょう。(注: 正確なデータが出たら数値は補正します)