物理にあって数学ないもの
GHS長野校主宰の天野です。私が担当するのは主に物理・化学です。
昨今の授業を通して改めて感じていることですが、今回は、「物理にあって数学にないもの」について述べましょう。
それは「落差」です。
GHSの体系物理や体系化学を学ぶと、市販の学参・問題集との解法の落差の大きさに驚くことの連続となります。これに比べると数学では、解法自体はそんなに差がないものです。むしろ、学び方・学びの順が重要であり、膨大な範囲と量を、満遍なくムラなく、キッチリやり切ることがまずもって大切です。
しかし、物理も化学も、量的にみると、数学ほどではありません。体系化学や体系物理のテキストと、チャート式数学シリーズとを比べれば一目瞭然です。基礎からのチャート(青いヤツ)三冊でこれです。難関突破には赤いヤツまでやるべし・・・とか言われても・・・
GHSのテキストである、『体系物理』、『体系化学』は、法則と公式が、一冊にまとまっていて、かつ、読めるようになっています。そもそも、解き方の土台・原理・発想からして大きく違うからです。
問題を沢山解けば、そのうちにだんだんわかってきて、自ずから道が拓ける(「読書百遍」と同じ信仰です)・・・これを信じて、膨大な時間をかけて長い旅をせよ、というのがチャート式の教えですが、至難です。
その長旅に同伴し、ペースし、要所要所でアシストして効率化してやるのが指導者の役割です。GHSの数学の指導では、その長旅の前に、「世界地図」を拡げて、「世界はこういう風にできている」と俯瞰し、「今からこういうルートで、ここをこう辿ると、やり切ることができる」とプランを示し、実際に、大海原に漕ぎだす前に、その長旅のミニマム形態でシミュレーションをします。・・・数学についてはまた、改めて述べましょう。
さてさて、本年度は、生物より物理選択者が多くて、そもそも少ない個別指導枠が満杯です。物理は、大きくは二つのコースがあります。
キッチリ&ハイレベル コース
まずは、高校物理の履修を高いレベルで、隅から隅まで成し遂げ、共通テストで高得点を取るために体系物理テキストと、学校で自習用に配布(購入)された問題集をきっちりやるコースです。
高校の進度にそれなりに合わせながらも、物理法則の体系性とそこから導出する物理公式をきちんと理解して、もちろん、適宜高等数学を駆使して、その上で問題集を解いていきます。
たとえば、信大・医学部を目指し、中学生の時から通っている生徒は、3年生になる前に、信大医学部生の講師からバトンタッチして、私が物理の入試レベルの指導を開始しました。信大の物理は難関レベルではありませんので、学校で配布された、『セミナー物理』(第一学習社)の演習を高校のテストや模試に合わせつつ、先取りもしながら進むので十分です。
『セミナー物理』は、小さい問題が多く、一人でやり切るは大変で、それで手一杯になると、本当にやるべき入試レベルの発展問題や総合問題に手が届きません。しかも、解法は平凡かつ旧式で、(それゆえに)時に難解です。しかし、体系物理で、物理法則と公式の全体像を把握した上でで、キッチリ解き直せば二次試験対策としては万全であり、共通テストではお釣りがきます。
8月一杯で電磁気力学まで終了し(これで以後の高校の授業は完全に先取り)、二学期からは、「原子物理」のテキストをやります。「体系物理テキスト」とは別冊(50ページ)になっています。
昔も今も、「原子物理」は鬼門ですから、高校三年生の二学期からここをキッチリ学ぶなんて、なんという贅沢でしょう!! (・・・高校時代の私が聞いたら、大いに嘆き、羨望することでしょう・・・)
すると、「別冊解答」の解き方が、なんとも隔靴掻痒というか、旧態依然というか、そういう風に見えてきます。視覚的理解にしても、数学の駆使にしても、体系物理の解き方と、明確にして圧倒的な落差があるので、GHS生は、この学びを「My解答集」として作り上げることが復習となり、実に楽しい知的な作業となるのです。
天辺(てっぺん)&超越レベル コース
また、たとえば、旧帝大の理系(医学部ではない)志望の生徒がいます。中々優秀で、これまで自力で色々と学んでいて、受験生としての物理の力はかなりある方です。が、それでも、難関大では歯が立たないことを自覚してやってきました。東大・京大クラスの実力はどうやってつければいいのか?と。
難関大受験において、物理で微分積分等の高等数学を駆使して解くのは「常識」であり「マナー」というべきものですが、そこに導いてくれる参考書や問題集は無いに等しい。
そこで、すでに3月頭に入会してから『物理重要問題集』(数研出版)を素材として、体系物理的な解き方による「My解答集」を営々と作り続けてきました。基本的には、たった週一回90分の個別指導です。
7月末の段階で、「あとは電気磁気を学べば、一周目が終了」というところに到達しました。8月中には折り返し可能で、そこからいよいよ『物理物理アドバンス』へとステップアップします。それと並行しながら、志望校の過去問を25年分やり切るプランです。曰く、
「それくらいのことをやっておかないと、受ける大学に失礼でしょ?」と。そういうプライドをもって、そして、誰よりもその大学・学部に憧れ、そのために誰よりも努力したという自信を持って入試に臨む、そんな充実した状態で送り出してあげたいものです。