物・化・生のデータ(https://dn-sundai.benesse.ne.jp/dn/center/doukou/index.html 駿台-ベネッセ データネットより)は以下です。
これだけ見ると、難化していた生物は、化学並みになり、物理は易化したままということになりますが、どうでしょうか。分布を見てみましょう。
■ 物理は、平均点から標準偏差までの左右を比べると、右に偏っていることがよくわかります。特に、88点付近は、平均値を追い越す勢いの多人数であり、統計学的には「あるべからざる事態」であるといえます。上位層は軒並み80点後半を取ったということ、つまり「差がつかないテスト」です。以前の易しかった頃のセンター試験以上です。物理問題については、別項でコメントしますが、こうなるのは不可抗力で、共通テストのコンセプトを守ろうとすると、どうしても易化せざるを得ない「呪縛ルール」があるからです。
■ これに対して化学は、やや平均より低得点層の方が多い印象がありますが、まあまあ対称的です。75点以上でもはや合格点であり、標準偏差の+2倍が95点ほどですから90点越えは10%未満でしょう。つまり、そこそこ取れるが高得点は取りにくいテストであったということになります。なぜ低得点層より高得点層が削られるかについては、すでに[45]の解説で述べた通りですが、「お化け屋敷問題」のために、実質的に80点満点となっているためです。
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■生物は、昨年までの反省か、平均点から線対称の分布となっており、まあまあ自然な分布に見えます。ただし、その両外側を見てみると、上位層<下位層であり、やはり、高得点者は削られており、80点以上を取るのは真の実力者のみ、という結果になっています。
科目間の得点調整でかなりの物議をかもした理科科目ですので、「得点調整なし」を至上命令として、今年度は、物理との得点差を化学とともに10点程度に抑えるのに成功したことになります。 化学も生物も、本当にしっかりと・本格的に学んで実力をつけた者が得をするという問題作りになっていることはGHS的には歓迎すべきことです。 逆に、物理は、決まり手「肩すかし」で勝ち進む横綱のごとくにブーイングものです。しかし、先ほども述べたように、共通テストの物理はこうなってしまうのには必然性があるのです。これは昨年も指摘した通りですが、具体的には、物理の問題解説の回で改めて説くことにます。 とにもかくにも、出題委員たちが、共通テストの呪縛ルールから解放されない限りは、二次試験的な勉強だけやっていればよく、それで物理科目は楽勝です。