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[52] 2025 共通テストから見えてくる今後の方向性

2025年3月8日 by ghs-yobikou

 例年は、共通テスト後の2月くらいに、駿台・ベネッセのデータリサーチの諸結果が公開され次第に行なっていたことですが、今年は、まあ、色々あって後回しにしていました。
 テキストも全て発注し、開講までには少しばかりの余裕ができたので、今のうちに書き記しておこうと思い立ちました。
 
2016年の変 :review
 内容的には、ここまでのブログで書いて来たことですが、今年のデータを見ながら、大学入試センターが行う一次試験において。2016年から生じた大きな変化(「改革」とまでいうのはどうかと・・・・・・)について振り返っておきましょう。
 
2025理科平均点.jpg
                                     (https://www.dnc.ac.jpより)
 
大学入試センターから公式に発表された、今年の受験者数と平均点です。何を感じますか? 何が見えますか?
 
 共通一次からセンター試験、そして共通テストと、看板を掛け替えてきた「大学入試センター一次試験」ですが、その高邁崇高なる理想は、「共通」という言葉にこめられていました。その意味は、第一に、すべての国公立大学に「共通」ということであり、それまで、大学ごとに行なってきた入試に対して、基礎学力的な部分を国が行う統一試験とする、という教育政策でした。
 第二に、基礎学力を担保するということから、文系や理系の区別なく「共通」であるべきということになり、そのため、理数科目に限って、その出題範囲が文系に合わせた、限定的なものになり、そのために、教科書の線引きが変更されることになりました。たとえば、昔は、化学IとIIに分かれ、化学Iが一次試験範囲となり、文・理の区別無く学ぶことになっていました。
 
 ところが、文科省にはさらなる「共通」への理想があったようです。それは、私立を含めたすべての大学に「共通」ということです。実際、現在多くの私立医学部には定員の1割程度の「共通テスト枠」が設けられています。ただ、この「共通」の実現のためには、第二の「共通」を捨てるという代償が伴いました。それが、世にいう? 「2016年の変」です。
 
 ここから、理科科目は文理を分離しました(なぜ社会もそうしないのでしょう?)。そう、上のように、理科基礎を文系にあてがい、理系用の物理・化学等は、全範囲からの出題としたのです。センター試験の晩年から小出しに範囲を拡張し、今や、かつてはタブー・NGとされた分野も、選択の余地なく、逃げ場なく、出題されるようになりました。例えば、物理では「原子物理」、化学では「有機高分子」などです。
 
 昔々は、生物選択者が多かったものです。文系は1科目選択で良かった(あるいは2科目選択して良い方を採用等)ので、ほとんどは生物を選択したものです。それは、上の理科基礎の選択を見ると明らかです。生物が最多です。次が化学であり、物理はダントツに少なくなっています。それが文理分離によって、明確になりました。・・・・・・にも関わらず、文系であった頃に、生物選択を拒否して、物理・化学選択していたのは私です。これを見ると、6-7人に1人の「変わり者」であったわけですが、当時の私は、「自然科学の盟主たる物理を学ぶのは、文系としての矜持なり」と虚勢を張っていたような・・・・・・
 
 これに対して、理系の科目選択は、圧倒的に化学でありこれが共通項です。物理・生物選択という人は0ではないですがレアです。私も1人だけ物理・生物選択の友人がいたのを覚えている程度です。選択者数は、文理合わせれば、ほぼ物理:生物=1:1ですが、理系になると、5:2という看過できない偏りがあることがわかります。なぜ看過できないかというと、高校での理系の授業編成と教師の割合のミスマッチが発生してしまうからで、生物教師1人に対して、物理教師2.5人を配置すべき状況です。
 
 兎にも角にも、これによって、私立医学部からすると、理科の試験範囲は各大学が行う一次試験と同じになり、さらに、かつては「範囲が狭くて、理系にとっては易しい」「東大受験生なら理数は満点とって当たり前」とさえ言われたものですが、上の平均点を見てもわかるように、化学は半分も取れず、70点も取れば合格点であるように設定されようになり「難化」したわけです。
 
 これは、入学試験としては 至極真っ当な、‘健全なあり方 ’ です。英検などの各種資格試験もその程度ですし、私立医学部等でも合格ラインはその程度であり、「適切な差がつく」ことが入試としては必要な条件だからです。だから、90点以上が沢山固まってしまっても、50点以下がごっそりいても、入学試験としては「失敗」です。
 「難化した」のではなく、「易しすぎて役立たず」であったのが、正常化しただけだ、と捉えるべきです。
 
 では、化学・物理・生物について、その成否を、得点分布から読み解いてみましょう。
 
生物=改善,Good !、化学=オーバーラン,失格?!, 物理=今回もアウト!!
 スクリーンショット 2025-04-06 12.42.16.png
 共通テスト元年、そして2年目は、共通テスト理科の理念が先行しすぎて(後述)、史上最低の平均点・得点調整対象となり「やらかした」生物ですが、「このままでは、ただでさえ少ない生物選択者が減って、生物教師の仕事がなくなる?!」と危惧したのかとも思いますが、昨年度からさらに改善が見られ、適切な出題レベルとなって来ています。
 52点の平均点を中心に、ほぼ左右対称の得点分布となり、23年度に比べて、高得点層の補正がなされ、70点以上が全体のほぼ1割程度となっています。つまり、合格者を選抜する試験としては適正な分布といえます。これがお手本です。来年度もこの調子で維持すれば、生物選択者も増えていくことでしょう。
 
スクリーンショット 2025-04-06 12.42.35.png
 
 これに対して、今年「難しかった」と定評のある化学の平均点はなんと、45点でした。やらかした時の生物レベルです。
 これは、下図に示したように、上位層を削りすぎた結果です。平均点以下の層が、特に低得点層が激増しています。23,24年度の分布で適正なレベルだったのが、なぜか、生物と逆行しており、まさにオーバーランです。ちなみに、GHS生は「玉石混交」の30名ほどですが、平均点は59点、最高点は94点でした。
 とは言っても、化学選択者が減る心配はまずないので、ここを反省して、生物レベルに戻すのか、このまま「難化」を維持するのかは何ともいえませんが、GHS的にはこのままでOKです。毎年言っていますが「難化上等!!」です。なぜならば、世間的に難化すればするほど、体系化学はその真価と威力を発揮できて、GHS生に大きなアドバンテージが与えられるらからです。
 
スクリーンショット 2025-04-06 12.42.29.png
 
 こうやってみてくると、物理は、完全アウト!!なのは一目瞭然でしょう。平均点が化学と13点近くついただけでなく、赤点線で示したように、上位層が膨大しており、今年の化学をほぼ左右反転した形となっています。これがこの3年間同じ傾向であり、改善が一向に見られません。右端を見ると、100点満点が2,000~4,000人発生していることがわかります。
 
 これでは、上位層が団子状態になっていて、ほとんど差がつかないテストであり、要するに「失敗例」です。これではテストする意味がない!!とさえ言っていいくらいです。物理だけなぜ、こんなことになってしまっているのでしょう? 改善の余地、可能性はあるのでしょうか?
 
言い訳を代弁します
 ここで、問題作成者側の弁明を、僭越ながら当事者になり代わり、私が代弁させていただきたいと思います。
出題者A「だいたい昔は、物理が、物理が最も平均点が低くて、生物がアホみたいに高かったから(そうそう、今年の物理の分布そっくりだったさ)、物理が文系には敬遠されて、物理をもっと易しく!!なんて言われて苦労したもんだわ。」
 
出題者B「それがなんで逆転したんだろうかとつらつら考えてみたんだが、よーするに、共通テストで掲げた理科科目のコンセプトが、生物や化学では上手くハマって来たけど、あれは物理にとっては、手枷足枷になっちゃっているよね。」
 
出題者C 「その通り。理科科目の出題ガイドラインに忠実に従うほどに、生物は難化し、物理は易化してしまうのが避けられない。」
 
出題者A「つまり、こういうことかな。その要点をまとめると、大きくは2点に集約される。1つは、「知識力より思考力」。これなんかは、昔の生物は「暗記科目」とナメられて、生物用語を覚えていれば文系生徒でも高得点が取れるので、彼らの‘草刈場’になっていた。物理なんて覚える用語になんて数えるほどしかないから、やはり、各分野の法則と公式を適用して、数学的な文字計算をさせて・・・てやるしかなくて、でも、これが物理的思考力だから仕方ない。
 すると、自ずから生物に比べて難しくなる。すると文系は避けて通るわけ。ならば、理系がメインだから、そんなに手加減する必もなく、むしろ、生物をもっと何とかすべきだよ!!なんて言えた時代があったな・・・」
 
出題者B「その期待に応えて? 生物は大転換をして、用語を選べは済むような問題は姿を消して、ほぼ初見の事例と研究データを出して、データ分析させて、その範囲で言えること、言えないことを議論する・・・要するに、研究者っぽいこと、研究の現場の一コマを擬似体験する形となった。知らないこと=「初見」でも、できるのが思考力なり、というわけだ。
 それまで油断していた受験生は、初年度、二年度は面食らって対応ができず、平均点がダダ下がりで、生物離れを加速、要するに「やらかした」わけだけど、生物ってのはそういうネタはいくらでもあるんだよね。生物の多様性ってやつで、ウィルスやバクテリアから、植物、動物の種類はゴマンとあるから、問題づくりに事欠かない。あとは難易度を調整すれば、受験生の対応力のアップと相まって、今年のようにキレイな分布になるわけさ。」
 
出題者C「それは、生物学が未完成な、発展途上の個別科学だからできること。これに対して、ニュートン力学の17世紀から20世紀初頭には、科学として一通り完成したと言ってよい物理学は、すべて物理法則で解けてしまうから、初見のデータとか物理現象はないわけで、どんな目新しげな事例を持ち出しても、結局物理法則の射程内。だから、結論は見えているしね。」
 
出題者X「初年度からそういう問題を入れようと、一応教科書外の過渡的現象などを出して工夫したが、それも二次試験レベルからするとバレバレ。しかももうネタ切れだよ。」
 
主題者A「そう。この点、化学はその中間で、初見の物質や反応はまた、ゴマンとある。しかし、物理では、ガイドラインに従おうにも、その初見事例がみつからない。しかももう1つの縛りがある。」
 
出題者B「これがキツい。その科目らしい思考力をメインとせよ、ということで、たとえば化学なんかは、数値計算は、すごくキレイな値(=捏造データOK)で、スカッと計算できるようにしてある。つまり、数学的計算による負担は軽減すべし、ときた。」
 
出題者C「でも、物理から数学的部分をとっちゃうと、はっきり言って何もできない。数学と物理はいわば一心同体で発展した来たわけだから、数式操作を取るとスカスカになる。「定性的物理」なんて、物理ではないよ。」
 
出題者X「日頃からしっかり物理をやっている人にとっては、計算免除だから、易しく見えるし、楽であるし、だから、時間は60分もかからないってことになり、100点続出ってわけだ。これではテストの体をなさない。」
 
出題者全員「じゃあ、やはり、掟破りしかないか。まともな物理の試験にするには、昔の形式に戻せば良い。すると、ガイドラインから逸脱するというか、無視することになるが、仕方ないよね。」
 
・・・てな感じです。その兆候は少しばかり見えています。来年あたり、古き良き時代の共通一次のような形式で、かつ、それを全範囲に広げたような、つまり、国立の二次試験を答えやすくしたような、まともな物理試験になる、と予想しておきます。
よーするに、本物物理を勉強していれば良い、ということには変わりないです。

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