思い起こせば……
今年の入試の大勢が判明しました。総数少人数制のGHSですが、本部新宿校と長野校を合わせて、医学部に進学できることが確定した人は2桁を超えています。これは「正味の人数」であり、一人で複数合格した人もカウントした「あるある」的のべ人数ではありません。GHS生たちが、勝ち取った、壁を乗り越えた成果です。長野校生からは、今年も信大医学部に2人が合格を勝ち取り、本部からの1名合わせて、3名が晴れて信大医学部生となりました。現状では、GHS長野校卒生だけで、10人ほど信大医学部に在学しています。
本来ならば、そんな一人一人の顔と答案を思い浮かべてコメントしたいところですが、そうもいかないので、とりあえずは最も語っておきたいYくんの 「恒例! 想い出の記」です。
今年、信州大学・医学部に合格した3名のうち2名はGHS長野校出身なので、2名とも現役高校生のうちからよく知っているわけです。今回取り上げるY君も、高校三年生の5月から長野校で、体系化学を学び始め、夏からは体系物理を指導開始し、アドバンスを含む体系化学の合同クラス授業を受けていました。
GHS的には、まさに‘理想の受験生’です。その意味は、浪人してから体系化学や体系物理に初めて出会うのと、高校生のうちから著者自身に直接個人指導を受けるのとの違い、と言えば十分でしょう。
Y君は最初から国立大医学部、地元の信大医学部一本に絞っていましたから、受験戦略としては上々のすべり出しだったと思います。しかしながら、浪人して本部・新宿校に「移籍」とすることになりました。ここは、多くの国立医学部志望者の等しく立ちはだかる壁に関わる問題ですので、後に続く人のためにも記しておきたいと思います。
『純粋理⚫︎批判』
「彼が首尾よく合格したらこういうタイトルにしよう! 」と以前(高校3年時)から考えていました。昨年度の共通テストの得点率は71.8%でしたから、もちろん医学部に届くはずもありません。だから、一年前、国立医学部に至るには遠い遠い道程に見えました。
・・・・・そして今年、見違える、いや見間違えると言ってよいくらい、なんと85.6%、要するに856点を取り、二次試験も難なくこなし、見事に合格を果たしたのです。こういう、脅威の伸びを果たす生徒が出てくるのが、GHSの生み出す実力であり、魅力であり威力である、・・・・これまでもここで何度か書いてきたことですが、それがまた当たり前のように繰り返されたということです。
そんなY君のかつての長所・短所は、指導を開始して程なく明らかとなりました。数字に強い、計算力がある・・・お世辞にも字がキレイではなく、ノートの取り方も整っていないのですが、それでも立式したあとは、計算ミスをほとんどしないのです。だから、体系化学で、計算公式と立式の原則を知れば、すぐに化学計算は「無敵超人」になれたわけです。
高校在学中の化学の成績はトップクラスを誇っていたといいます。
物理も同様です。体系物理テキストに従って、法則と公式を習得し、『物理重要問題集』を、力学・熱力学・電気磁気力学及び交流回路までを指導しました。物理はアドバンスレベルまでいく時間がなかったのですが、その土台はしっかりと学べての浪人生活開始だったのです。ここの辺りまでは、まさに「幸せの受験生」で、「順風満帆」と言えたのですが、昔も今も、国立医学部志望者の大きな壁は、<国語>です。
理系は、古文・漢文に時間がかけられないのが相場ですが、安定した実力をつけるには、かなりの手間暇をかけないといけない科目です。現代文に至っては、何をどう勉強することが、母国語のはずの現代文の対策になるのか、そして、自国語だから読めるは読めるが点は取れない・・・・となり、7割切るどころか、半分の100点も取れなかったりします。
これと社会科目が揃って足を引っ張り、軽く-100点超の減点になってしまうのです。この時点で国立医学部は届きません。
いかな理数でなんとか8割越えを果たしても、国語と社会がその「利益」を食い尽くしてしまうのです。
そういう、「理系科目が得意になりながらも、文系科目でそのアドバンテージを帳消しに、いや、マイナスに転化してしまう」ことに警鐘を鳴らしているわけで、これを称して ‘純粋理系批判’ と呼ぶわけです。
壁の向こうの世界
しかしながら、・・・これまで、GHSで数々見てきた、こんな‘純数理系’ の中にも、Y君のような ‘覚醒者’が現れるものです。
この一年間で、物理の演習を沢山こなすことができたので、・・・つまり、入試基礎的知識はあるので、あとは問題をやるだけで浪人スタート・・・物理も化学と同様に得点源となり、共通テストでは、97点、94点という超高得点です。特に、平均点が48点の化学での90点超えは、文字通り、‘ 体系化学マスター ’ (免許皆伝)の境地です。
Yくんによれば、物理は40分でできてしまったので、化学に実質80分掛けられたという上級受験生的オマケ付きです。
体系化学・体系物理の論理性は、実は文系的な人の方が理解できるものです。文章を読むこと、論理的に筋を読解することを苦にしない人は、『体系化学』の真意をすぐに理解して、超速・望外の伸びを示す・・・そういう事例もこれまで沢山みて来ました。英語や国語は苦手ではないので、理数科目ができさえすれば・・・というタイプの人は国立医学部へ、逆に、純粋理系は、国社の壁を越えられず、理系をさらに伸ばして私立医学部へ・・・というのがありがちな傾向です。
実際、Yくんは、なんと、慈恵医科大にも正規合格していますので、純粋理系としても上級者ですが、そこに、純粋理系に立ちはだかる壁を越えて、信州大医学部の合格を果たしました。
高校三年生の時に、彼の純粋理系ぶりを見て取り、それを答案指導等を通して、徐々に気づかせ、浪人にあたって、上に書いたような「壁」のついて、警告を発しておきましたが、彼はそれを真摯に受け、それまでの人生で培ってしまった自らの長所・短所を自覚して、浪人の一年間で ‘自己改造’ を成し遂げたということです。
意思あるところに道ができる
ということです。
・・・かくして、メデタく長野に帰還しましたので、できればYくんには、しばらく、GHS長野校で、後に続く後輩達のために、体系化学・体系物理の伝承活動を手伝ってもらいたいな、とは思っています。
それはともかく、
初志で描いた道が、現実と見事に繋がりました。
その実現のために、GHSを選んでくれてありがとう。
そんな彼の前途をこれからも見守っていきたいと思います。
ご進学、おめでとう!!