今年も、どこよりも早く、詳しい解説・速報???
「 例によって、大手予備校は全科目が揃って、会議などをして詰めてからの公開なので、どうしても2週間くらいはかかりますが、GHSは個人で動けるので、今年最も平均点が低かった化学だけは、解説原稿を書き上げて、速攻UPした次第です。」
・・・・と昨年の今頃書きました。限定で解説動画も作りました・・・が、今年は・・・?!
えー、はっきり言って、今年の化学の問題は、我をして解説せしむるに足らず・・・というところでしょうか。なんだかなぁ、せっかく共通テストで「難化」して、体系化学のスキルが発揮できる場面が増えて、その威力を知ってもらう良いサンプルだ、とここ5年ほど素直に褒めてきていたのですが、尖ってイキっていた攻めの姿勢が影を顰め、先祖がえりしたかのように、ゆとりのセンター試験時代のような緩い問題が幅を利かせている有様です。
だから、「こんなん、わざわざワシが解説を書かんでもええじゃろう」(感性的思考は基本的には長州コトバ)と思ってしまい、2022,2023,2024,2025と続いてきた、化学の解説作成の労力に対する利得の激減に、ため息をついているところです。
得点分布のシフト
昨年度の化学の得点分析は、
70点以上の上位層の分布は変わりなく、それ以下の層が下方にかなりの程度シフトしたためかと。いわば、文字通り「足を引っ張った」形で、平均点は低くなった
というものでした。
これに対して、今年度は、低得点層に「下駄を履かせる問題」を増やしてあり、下位層が押し上げられて平均中間層が厚くなり、上位層が増える形での平均点上昇が見込まれるでしょう。
さて、体系化学のカリキュラムから、問題のグレード分けは以下です。
C : 1つの化学知識、ワンステップの計算で、速攻で解ける問題。教科書レベル。ゆとりの時代終焉までは4割を占めていた。
B : ハードルが二つ。複数の化学知識を併せて解く。入試の標準問題レベル。
B2: 必要な知識は教科書レベル。定性or/and定量のハードルが二つ
B1: 教科書にはない初見の知識を与えて読解させる。定性or/and定量のハードルが二つ
A: 初見の知識を与え、化学ADで演習しているThemeに関わる計算
A2: 化学ADから見ると、答えやすいように計算簡略化や誘導で「薄めた問題」
A1: 化学ADで演習しているThemeの計算問題またはその部分。
問題B,Cのグレードは、GHS化学の標準テキストの3冊で約9割の解答が可能な問題であり、問題Aが、体系化学ADの学びが必要な問題です。昨年と配点を比較してみます。
| 難易度 | 配点(前年) |
|
C
|
21(13) |
| B2 | 41(30) |
| B1 | 29(47) |
| A2 | 3(10) |
| A1 | 0(0) |
| その他 | 3(3) |
| 計 | (100) |
| 定量 | 30 |
| 定性 | 70 |
先ほど指摘した変化が明らかに読み取れるでしょう。元々A1レベルの問題はありませんが、A2とB1で差がつくようになっていて、合格点が7割強くらいに設定されていたので、私立大のマーク型入試と比較しても遜色ないレベル設定でした。これくらい難化してくれれば、体系化学の学びの優位性が際立つので、ここ四年分は全問に解説をつけていたのですが、遺憾ながら、今年の問題の全ては、解説をつける価値を感じられません。
グレードBの配点が全体の3/4を占めているのは昨年と同じですが、B2にシフトしています。また、昨年度は、
「C問題(=平均点を維持するための、下駄はかせ問題)を、実に潔く捨て去っています。むしろ、C問題を探すのに苦労するくらい少なくなりました。だから、一つの知識で、ワンステップで瞬殺できるものは、今年はさらに半減してわずか13点分になってしまいしました。」
との歓迎コメントしたのですが、元に戻ってしまいました。
いったい、「歴史に学ぶ」ということができないのでしょうか?
かつて「平均点が低い!!」「理科は科目間格差が問題だ!!」という批判ばかり気にして、下位層に下駄を履かせる易問を並べて見かけ上の平均点を上げて誤魔化すということをやり続けて入試問題としての質を毀損してきた・・・・そういう反省の元に始まった共通テストの「難化」(競争試験としては健全化)であったはずですが、もう、掌返しなんでしょうか?
なーい、なーい、何にも無い
共通テストが開始されてからは、容赦無く「蒸気」「ヘンリー」「化学平衡」などの化学計算を出していて、「まともな入試問題になってきたな」と評価していたのですが、今回は、溶解度積は継続しましたが、それ以外の入試化学のハードルは姿を消して、なんてことはない、シングルタスクの化学計算ばかりとなって、明らかにレベルダウンしています。
「なかなか攻めるね!!」という設問が何にも無いのです。
こんなことをしていると、また難関大受験層で満点が続出して、分布が歪つになってしまい、かつてのように軽くあしらわれてしまいますが、それでいいのでしょうか・・・・?????
・・・なので、昨年の以下の評価は棚上げします。(2025の記事より引用)
健全化したんじゃないかな
GHSで指導している体系化学のからみると、「今年はとても良い問題づくりと構成で、☆☆☆☆と星四つは挙げたい」と思います。「いつも共通テストには辛口なのに、ほぼ手放しで褒めるとは、珍しいですね」と言われそうですが、理由は以下です。
B1の割合が激増(約3倍増)したことです。これは、「ハードルが複数+初見の素材」ですから、一般の受験生にとってみれば、次から次に高めのハードルを飛びつづけなければならず、体力(実力)がないと息切れ・失速してしまうような状況だったと思います。それをひょいひょいと交わしながら省エネでスイスイと進めるのが体系化学の真骨頂です。
これは、そもそも、「知識だけに頼らず、化学的思考力を試す」とかいう共通テスト理科のコンセプトからすると、B1やA2が一定の割合をしめるのは当然です。それが、ようやく、問題構成として固まってきた、ということなのでしょう。
B1の半分とAの配点で30点程ですので、70点が一応の合格点、80点以上が優秀賞です。
これだけ健全化したのですから、たとえば私立医学部の選抜(90点は欲しい)にも十分使えるレベルとしてよいと思われます。
さて、さて、このまま続く道なのか、はたまた、掌返し返しなのか、軸足だけはしっかりしてほしいものです。《了》