例によって、どこよりも早く?!
今年は、共通テスト・化学の問題分析とともに解説編も作ってしまいました。
共通テストになってから、毎年問題のグレード分析をやるようになりました。
それは、センター試験の末期から共通テストに至って、そういう分析や解説を書く気にさせてくれるような難易度となり、GHS『体系化学』のカリキュラムに沿った(とした思えない?)出題が増えてきましたので、授業・テキストとの相性もよく、今年度は、それを検証する意味も込めて解説編も作ってみた次第です。。
実際に、マジメに解いてみて解説を書いたので、どれどれ大手予備校はとTやTやらのサイトをのぞいて見ると、解答速報は早い(発表されるので)が、どこにも解説はアップされてなくて、設問分析という「具体性のない、誰でも言えるような一般的感想」止まりしかありません。
大手になると、各科目の解説の足並み揃える必要あり、それなりに会議など開いて協議・確認して・・・となると数日ではできない仕事ですから・・・。
とりあえず、1/20月曜日に国語・漢文の解説を書いて、本部校HPのブログにアップしておきましたが、その後、化学に取り掛かって順次配信していくというのはGHSならではのフットワークです。田川講師による物理の解説編も同時進行中です。
まずは傾向分析
よく、「去年よりやや難化」とか「平均点はやや上昇か」とか、「グラフやデータを使って解かせる問題が増加」とか、何の参考にもならない傾向分析ばかりです。そんなの、分析しなくても受ければわかることだし、昨年との比較は今年のにとって大した意味はないし、来年度の受験生の参考にもならないわけです。まあ、大手だと(昔々K塾におりましたので)少ない字数制限で速攻で書くように依頼されるので、大したことを書けないのです(と弁護しておきましょう)。
とりあえず、結論としては75点を合格点とする、理系の化学一次試験としては適切というべきです。それは昨年度の分析結果と同じですから、共通テストが目指しているのは、「中堅私立医学部の一次試験」としても遜色ない難易度と出題範囲の試験ということでしょう。
以前にも説いたことですが、共通一次からセンター試験にかけて、国が行う試験としての遠慮と高校の現場への配慮と、方面からの批判をかわそうとする忖度によって「易しい試験」作りをずっとしてきました。
平均点は60点台、範囲は文理共通という暗黙の掟に縛られて、高校の履修範囲の1/2以下で問題を作る。
だから、その頃は上位受験生であれば、60分の試験時間は余って仕方なく、かつ、90点以上は当たり前、というものでした。
(ちなみに、私が受験した時は、化学は40分で終わり、ゆっくり見直して100点!!が可能でした。)
ただ、こんなレベルでは、私立医学部の試験としてはへなチョコすぎます。それじゃ選抜に使えないね、ウチの大学は、センター試験に参入するのは嫌だ・・・という大学の声もあったことでしょう。
そこで、センター試験の晩年には、文系と理系の理科を切り離し、徐々に範囲を広げ、難易度を上方に段階的にシフトし、共通テストに至ります。
したがって、昨年や今年のような形式と内容が、ほぼ到達点なのだろうと思われます。
ちなみに、1/19の中間集計では、
化学49.95点(前回47.63点)
ですので、難易度は昨年と同等ということがその証左です。
50点を真ん中にして、それ以下の層の方がやや多い方に偏移し、かつ、80点以上の上位層が少ない分布になっていることでしょう
再度、述べますが、合格点が75点というのは、テストとして実にまともな作りであり、実力によっていい感じにバラけて分布することで、選抜を容易かつ適正にするための目安です。
。長年、理科の平均点の下方圧力であった文系(悪意はないですよ、事実であり、統計です)を切り離して、理系だけの化学にしたことで、問題づくりの幅が広がり、要するに「まともな入試問題になった」と思います。
設問グレードと配点の分析
共通テストが始まってからの分析は、まず設問のグレード分けと点数配分をまず分析することにしています。
ちなみに、設問数は、29です。単純平均では一つあたり2分です。とはいえ、実際にやってみましたが、それなりに手間がかかるものもあり、時間的にはあまり余裕はなく、したがってゆっくり見直す時間は残りませんでした。
そのため、チェックミスが発生し、残念ながら満点を逃し97点でした。(解説編ではそこにも言及しています)
しかも、「難度A」の問題については、GHS・化学アドバンスのスキルを使って、速攻・スキップ解答をしましたから、多くの受験生にしてみれば、全問を解くこと自体が時間的に困難であったのではないでしょうか。
体系化学のカリキュラムから、問題のグレード分けは以下です。
C: 一つの化学知識、ワンステップの計算で、速攻で解ける問題。ここで基礎点と時間を稼ぐ。
B:複数の化学知識を併せて解く。計算はハードルが二つ。標準問題レベル。
A2:Bの少し上の知識や、さらなるハードルがある、「差をつける問題」
A1:化学ADレベルで演習している計算問題。ただし、ADレベルから見ると基本例題のレベル。
このグレードで分類すると、
問題数 配点
C 9 29
B 14 49
A2 4 14
A1 4 8
となりました。つまりAは手付かずで、Cをほぼ確実にとって、 Bがほぼ半分取れるとするとほぼ平均点の50点付近となります。
昔の易しかったセンター試験の頃は、BとCの比率が逆で、平均点が60-65点くらいになり、しかもAレベルの問題がほとんどなかった頃は、平均が70点になったりしたわけです。
では、体系化学的に、定量と定性に分けてみましょうか。
問題数 配点
定量 9 32 [A:16,B:13, C:3]
定性 16 55 [A: 6,B:29, C:20]
その他 4 13
「その他」というのは「化学の計算ではない、算数・数学的計算」のことです。すると定量化学、要するに計算問題はグレードAが最多であり、定性問題のようにスイスイとは行かないので「難しい」と感じるわけです。Aの定量計算問題に手も足も出ないとすると、すでに84点満点になります。定性のAも得点できないと74点満点です、上でも述べたように、平均的受験生が、この状態でBを半分とれたとすると、-22点で、平均点50点位に下がってしまうのです。
要するに、そのようなグレードと配点で構成されたセットになっています。
昨年度の分析を引用します。
2020 設問 32個 A 32 : B 13 : C 55 平均54.8点 センター試験最後
2021 29個 A 18 : B 44 : C 38 51.0 共通テスト1
2022 30個 A 33 : B 43 : C 24 47.6 共通テスト2
並べると
2023 29個 A 22 : B 49 : C 29 49点(中間暫定)
共通テストになってからはほぼ同程度のグレード比率であり、同程度の難易度だということがわかります。つまり形はほぼ定まったということです。
・・・・では長くなりましたので、問題についての解説・講評は、次の稿にゆずることとしましょう。<続>