01

覚えることと、
考えることを分ける。

田川

GHSで勉強したことが、医師になった今、形を変えて生きていると感じることはありますか。

Oさん

あります。大きいのは、「覚えなければいけないこと」と「考えて導き出せること」を区別できるようになったことです。

GHSの物理では、少数の基本的な公式から、微分積分を使っていろいろな関係をつないでいきましたよね。基本を押さえて、そこから考えを広げていく。あの学び方を通して、勉強に濃淡をつけられるようになりました。ここはしっかり覚えるところ、ここは一つひとつ覚えるよりも考えるところ、というふうに。

田川

それは、実際の仕事ではどんな場面に表れますか。

Oさん

僕は外科の研修で、いろいろな診療科を回っています。将来の専門とは違う分野を学ぶこともありますが、手術を経験していくと、分野を越えて共通している部分が見えてくるんです。

例えば、糸を結ぶ基本的な技術は、繰り返し練習して身につけなければいけません。一方で、その技術をどこで、どう使うかは、部位や状況によって変わります。そこは考えるところです。一つひとつのやり方を別々に覚えていたら、きりがありません。

田川

共通する基本があって、それをどう生かすかを考えるわけですね。

Oさん

そうです。上の先生方の手術を見ていても、「なぜそうするのか」を普段から考えていることが、いつもと違う状況での対応につながるのだと感じます。僕自身も、そういう先生に憧れますし、その考え方を実際に生かせるようになりたいと思っています。

02

大量の知識にも、
筋道を見つけていける。

田川

医学部に入ってからの勉強では、どうでしたか。

Kさん

僕は、GHSで「知識を筋道立てて組み立てることができる」と実感できたことが大きかったです。

入る前から、物理も一つの道筋でつながるのだろうとは、何となく思っていました。でも、自分では形にできなかった。それがGHSで学んで、「こうやってつながるんだ」と分かったんです。

医学部では、大量の知識を次々に教わります。医学は、物理と同じように一つの論理ですべて説明できるわけではありません。それでも、「この知識も、自分で整理して考えていけるはずだ」と思えたことが、心の支えになりました。

田川

知識の量に圧倒されても、そこに筋道を見いだせるという自信があったんですね。

Kさん

そうですね。あの経験がなかったら、覚える量に押しつぶされていたかもしれません。「自分で考えて、まとめていける」という感覚は、今も自分の中にあります。

国家試験の勉強でも、僕はできるだけ根っこからたどるようにしていました。例えば、腎臓の働きなら、ある変化が起きると、次にどこで何が起こり、体全体としてどうなるのか。そのつながりを考えると、別々に覚えなければならないことを減らせるんです。

田川

大学で出会った人たちの考え方に、GHSで学んだこととの共通点を感じることはありましたか。

Mさん

私の周りには、本当に頭のいい人がたくさんいました。早い時期から勉強を進めて、自分なりに知識をまとめているんです。

例えば、腎臓の働きについて聞くと、その場で図を描いて、「ここがうまく働かなくなるから、こっちが頑張るんだよね」と説明してくれる。知識がどうつながっているのかを、ちゃんと理解しているんですよね。

田川

GHSでやっていたような考え方を、自分で身につけていたんですね。

Mさん

そうなんです。GHS出身というわけではないのに、同じようなことができる。賢い人は、自分で考えて、そこまでたどり着いているんだなと感じました。

03

診察の中で感じる、
学んだ考え方とのつながり。

田川

診察の場面でも、GHSでの学びにつながる感覚はありますか。

Kさん

あります。患者さんのお話には、いろいろな情報が含まれています。その中から、「この方の体の中では、どういうことが起きているんだろう」と考えて、判断に必要な情報を取り出し、起きていることを捉えていく。その考える過程が、物理の問題に向き合うときと似ているんです。

物理でも、与えられた情報を全部そのまま使うのではなく、何に注目すれば現象を捉えられるかを考えますよね。診察をしていて、「同じようなことをしているな」と感じます。

田川

物事の要点をつかんで、見通しよく考える。そういうところに、学んだことが生きているんですね。

04

わかることと、
実際にできること。

Kさん

医師になって感じるのは、理論を理解することと、実際にできることの両方が大事だということです。

Mさん

手術には時間の制約があり、いろいろな人が関わっています。事前に考えて計画したことを、本番で実行できるかが大切です。ピアノの演奏にも近いと思います。上手な先生は理論を理解しているうえに、感覚的なところもすごく研ぎ澄まされている。自分に足りないところを補っていかなければ、と日々感じています。

田川

その「身につける」ということも、「根本から理解する」ということに並ぶ、GHSの教育の一つの柱ですね。

Kさん

はい、理解を深めることと、練習を重ねて手が動くようにすること。その両方が必要ですね。

Oさん

受験も同じだと思います。期限があるので、理解を深めたいという理想を持ちながら、必要なことを覚えて、間に合わせることも大事です。覚えること、考えること、実際にできるようにすること。そのバランスが必要なんだと思います。

05

「自分はこう考えた」を、
言いやすい場所だった。

田川

皆さんがGHSにいた頃は、自分で考えて、よく意見を言っていましたね。「なぜですか」「自分はこう考えたんですけど」と。

Kさん

そういうことを言いやすい場所でしたね。

田川

疑問や自分の考えを言ってもらえると、こちらも、なぜそう考えるのかを話せます。そうやってやり取りできるのは、教える側にとってもうれしいことです。自分で考えて、それを言葉にすることは大切ですよね。

Kさん

それに、僕にとっては、卒業してからもこうしてみんなで集まれることが、いちばんの財産だと思っています。

GHSから、高校生の皆さんへ

高校生のうちに身につけてほしいこと

卒業生たちの話には、GHSで学んだ考え方を、今も自分の勉強や仕事で使っている様子が表れています。理解するだけでなく、必要なことを覚え、練習してできるようにする。その両方を、高校生の授業でも大切にしています。

本文中の医療の話は、卒業生個人の学習・仕事の経験として紹介しています。GHSでの学習が医師としての能力や特定の成果を保証するという趣旨ではありません。

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