今年東大の理?に合格した児玉君が手伝いに来ているのだが、
彼は決して小さい頃から
その地域で有名な神童であったというわけではないらしい。
高校時代も一番であったわけではなく、
浪人のときに成績が伸びたという。
天才型ではなく、都会の詰め込み秀才でもないので、
人間としてバランスがよい。
礼儀正しいし、義理がたい。
よい医者になると思う。
他方、
先日ひとりの入会希望者が訪ねてきた。
一年浪人して今年前期試験で理?が不合格となり
後期試験で東工大に合格して在籍しているが
あくまで理?を目指して受験勉強をしたいと言う。
お金がないから特待生で入学させてくれないかということらしい。
自分の窮状と理?への思いを切々と訴える姿には
同情も禁じえないのだが、
どうもぴんとこない。
「理?に入ることと、医者になることとどちらが優先なの?」
と聞くと、
「理?です」と平気で言う。
やんわり断ると、
翌日履歴書を持ってやってきた。
数学と理科は東大生に負けない自信があるから
事務員およびチューターとして雇ってほしいという。
つまり、授業料を働くことで払おうという作戦である。
もう、自分しか見えていないのである。
「ところで君、昨日持って行ったGHSの資料は読んだの?」
と聞くと、
「まだ読んでません。」
・・・・・。
何をかいわんやである。
しかし、入試でちょっとうまくいけば
こういう若者も理?に入ってしまうだろうから
困ったものである。
東大はもう少し国語の配点を大きくして
人の心を当たり前に理解できるバランスを持っているかどうかを
よく見極めて合格者を厳選した方が良いと
つくづく思った次第である。