どの世界にも

疑うべくもない“定説”、

疑問の余地のない“前提”がある。

しかし実際にはそれをしっかりと検証したことがなかったり

権威の意のままに定着してしまったものも少なくないのである。

だが、一度定着し、伝統と化してしまうと

その確立してしまったものを

根底から疑ってかかり、それを覆すということは容易ではない。

実はGHSは受験の世界でそれを少しずつ、

しかし着実に進めつつあるのである。

『体系化学』がその先陣であったが、

今回は漢文である。

近々市川先生が『思考訓練の場としての』シリーズから

漢文編を出すことになった。

受験で必ずやらされる“書き下し文”とは何なのか、

なぜそんなものが必要とされるのか、

なぜ再び戻ってもう一度読む“再読文字”などというものがあるのか

なぜ読みもしない“置き字”なるものがあるのか。

そうした疑問が見事に解明され、

つまるところ、

本来ありもしないものを強引にあるものとして学ばされている事情が解き明かされて爽快である。

この書によって

漢文がより自然に読めるようになるだけでなく、

当たり前とされているものに健全な疑問を投げかけ

あくまで冷静かつ客観的に立ち向かっていくことの

大事さと素晴らしさを学ぶことができるであろう。

おそらく書店には並ぶのは夏になると思う。

乞うご期待である。