梅雨も明け、また暑い夏がやってきた。

受験生にとっては暑さはこたえるが、

今の時代は冷房施設が発達しているから、恵まれている。

私は浪人時代、いわゆる宅浪していたのであるが、

わが家にエアコンなるものはなかった。

扇風機はさすがにあったので、

それと開放した窓から入ってくる風だけが頼り。

もっとも場所は仙台であり、

時代は地球温暖化が問題になる前であるから

今ほど気温が高くなく、せいぜい31℃くらいであったと思う。

それでもエアコンのない夏は現代の受験生には考えにくいであろう。

昼から4時までは休憩時間と決め込んで

畳に寝転んで、小説を読みながら眠くなったら昼寝であった。

ただ、このとき読んだ

「草枕」「ロミオとジュリエット」「ボヴァリー夫人」などは印象深く記憶に残っている。

シンガポールを一代で見事につくりあげたリー・クワンユーは

「もしエアコンが発明されなかったならばシンガポールの発展はなかったであろう」

と述べている。

人間の体は四季の変化でリズムを打つようにできている。

人工的に勝手に気温をフラットにしてしまったら

何かしら人間の心身に悪影響を与えるはずである。

受験生も適度に夏を浴び、夏に親しむことは必要であろう。