受験生にとっては一番きつい季節になった。
人間、頑張りは必要であるが、
またあまりに何かを思い込んではならないものである。
物事に絶対はあり得ず、
真理と思えることもコロコロ変わるものだからである。
たとえばノーベル賞が授与されるような権威ある世界でも
あとになって覆されたことは多々あるのであるから。
今回の物理学賞は質量がないとされていた物質に
質量があると実証したことに対する受賞ということであるが、
考えてみればおかしなことであろう。
素人からすれば、質量のない物質などはありえないと思う。
ところが天才的に頭のよい学者たちが
難しい数式で質量のない物質という観念を導き出した。
ところがやはり質量があったと実証してノーベル賞!というわけである。
透明人間などいないということをみな知っている。
しかし「透明人間は存在する」と研究仲間たちが真顔で導きだしたのを
やはり「透明人間はいない」と同じ仲間が実証してノーベル賞!
というようなものであろう。
「裸の王様」を地で行くような滑稽な「権威ある世界」である。
「権威ある世界」が仲間内で遊んでいる。
しかし、権威などというものはそういうものなのだと
分かることが重要である。
受験生は思い詰めがちである。
しかし、必死で頑張ることと思い詰めることとは違う。
確かに大学入試の世界は
受験生にとって「権威ある世界」である。
だから一所懸命がんばるべきなのだが、
しかしそれがすべてではもとよりない。
おおらかに余裕をもって必死に頑張ることが
精神衛生の管理上、肝要である。