英語で appreciate という単語がある。
辞書には「正しく理解する」「価値を認める」「鑑賞する」
などと並んで
「感謝する」とも書いてある。
日本語の単語は英語より細かく分かれているが
英語はこれらの意味を一括りにしたものが
appreciate の意味である。
つまりこれらには共通性がある。
「感謝する」ということと「正しく理解する」ということには共通性があるということである。

よくテニスやゴルフの優勝インタビューでは
大会関係者や家族やスタッフやこれまで世話になった人への感謝の言葉が語られる。
少し形式化している面もあるとは言え、
優勝者の正直な思いであることには変わりがないだろう。
それぞれその道に邁進してきた者同士が
技を競い合うスポーツの大会において
優勝するというのは並大抵のことではない。
優勝に至るまでに様々なことがあったであろう。
それがどう噛み合って優勝まで来たのかを
本人が一番分かっているのである。
そうなると自然に感謝の思いが湧き出てくるのだと思う。
つまり「感謝できる」ということは「よく理解できている」ということと
表裏一体なのだ。

学力しかりである。
「感謝できる」ということと
「理解力がある」つまり「学力がある」ということは表裏一体なのである。
視野を広く持って、物事を深く考え
様々なものが体系的につながり合って有機的に機能して
物事がうまくいくということが理解できる生徒には
自然に感謝の心が生まれる。
自分の現在を過程と広がりにおいて理解できるからである。
私の経験上も感謝の気持ちの大きい受験生は学力が高い。
「合格体験記」にも感謝の意が述べられているのは
単なる形式や社交上の儀礼としてではない。
感謝の言葉と、学習の内容の記述とが重なり合っていて
なるほどだからこの生徒は大学に合格できたのだと
よくわかるのである。