いよいよ『ドイツ通信』が始まった.

横山裕子さんの住んでいるチュービンゲンという町は

哲学者ヘーゲル,シェリング,詩人ヘルダーリンが過ごした大学町であり,

ヘルマン=ヘッセの『車輪の下』にも登場する歴史的な町.

バランス感覚というものが必要だと思う.

新しいものを求めようとするのも当然であるが,

一方,故(ふる)きを尋ねることも必要である.

その両者のバランスをうまく保っていくべきなのだが,

世間の風潮は,ともすると,どうしても新しいものへ

顔が向きすぎる憾(うら)みがある.

日本の場合,新しいものをもっぱらアメリカに求めようとする.

政治,経済,教育,音楽・・・多くの分野で

日本はアメリカ志向である.

それだけに,今回横山さんが歴史の宝庫とも言えるドイツから

普段私たちが耳にすることの少ない貴重な情報を

発信してくれることは

たいへん意義深いことである.