自動車の後部座席のシートベルト着用が

法律として義務化された。

安全の確保という点でよいことなのだと思う。

しかし、何か違うなあ…との思いがあるのである。

いろいろな法律が改正・成立し、

いろいろな制度が改革・新設されていく今の流れを見ていると

どうも気分が明るくならないのである。

世の中は、法という規範とともに

個人レベル・社会レベルのマナー、道徳、信条といったものが

うまく補完しあって流れていくべきはずのものであろう。

前者が強力かつ微細になってきている流れは

後者の衰えの結果であるように思えるし、

後者をさらに衰退させていくように思えるのである。

それがどうも気分が明るくならない理由なのだ。

「・・・の品格」という本が売れ、

「江戸のしぐさ」が見直され話題になっているのも、

人々が今の社会のこうした衰退を

危機感のレベルで感じている表れではないだろうか。

こうした日本社会が抱える問題を

法律の強化や、表面的な制度改革でしのごうというところに

そもそもの発想の根本的錯誤があるように思う。

英語教育にしても然り。

ただ、英語をペラペラ話せる国民にしようとする発想の前に

法規範ができるだけ少なくて済むような国民にすることを

考えるのが先ではないのかと思う。

匿名性をよいことに、

他人の誹謗中傷をあることないこと書き連ね

子供を死にさえ追いやる社会を

法規制だけで押さえ込むには限界がある。

国がつぶれてからでは遅いのである。