バレンタインデーであった。
女子高校生が我々おじさん教師に
手作りの義理チョコをくれる。
何はともあれ、うれしいではないか。
もう一つうれしいのは、
生徒のお母様がチョコレートを下さることがあることである。
たいしたことはやっていないのだが
こちらの配慮をたいへん感謝してくださって
お送りくださったものである。
この場を借りてお礼を申し上げたい。
しかし、つくづく思うのは
母親は本当に子供の成長に命がけだということである。
涙が出るほど必死なのである。
それを子供が分かることは残念ながらない。
もう40年以上も前のことで恐縮である。
私がまだ小学校低学年、姉が小学校5,6年生の時であった。
丁度家の門の前の道路で姉が近くの有名な悪童に泣かされんとしていた。
その声が聞こえるや、わが母親は一瞬にして家から躍り出、
悪童を怒鳴りつけて追い払ったのである。
小柄な普通の女性である。
事なきを得てふと足元を見ると
母親は裸足であった。
戦前の人であるから女性のたしなみは
今以上に教育されている世代である。
その時私は母親の血相と、裸足の姿を見て
親というものは素晴らしい存在だと
幼いながらも思ったことを覚えている。
だからというわけでもないが
私は結構親孝行である。
しかし、それもやはりこちらが40歳過ぎてからだろうか。
もちろん、親孝行してもらおうとして
親は子供を育てているわけではないが、
親のありがたみが分かるのはやはり40歳過ぎてからであろう。
しかし、いずれ分かる時がくる。
今を必死で頑張っている世の母親には
有らん限りのエールを送りたいと思う。