センター試験が終わり、

今年の大学入試も本格的にスタートした。

昨年のような大きな混乱はなかったようだが、

試験途中に問題を持ち出させた予備校(の講師)がいたようで、

愚かの極みである。

個人の問題ではあるが、

資本主義の象徴でもあるように思う。

他のどこにも先駆けて問題を手に入れ、

解答を作って宣伝にしたかったのであろう。

次号の『医大受験』のコラムに書いたのだが

資本主義はある面で人間の質を低下させる。

大人のレベルが下がっていくだけに

そうした大人社会に育つ子供は犠牲者になり

それが再生産を繰り返し悪循環を生む。

資本主義・商業主義の現代社会では

いっそう人間の質を保つ意図的な努力が必要である。

知性という質を向上させようとする大学入試において

倫理という質の悪化が浮き彫りになった事件であるように思う。

しかし、そういう自覚を社会自体がまだ持っていない現実がある。

大学入試は大人社会を反省する機会でもある。

若者が自分の人生をかけて一生懸命頑張るときに、

大人は社会の向上に懸命になるべきであろう。