センター試験の結果がおおよそ出たところである。
今年は900点満点換算で40点ほど平均が下がるようであるから、
受験直後の受験生の衝撃たるやたいへんなものであったろう。
できの悪さにうなだれて帰った受験生も多かったのではないか。
今年一番の関門となったのは国語である。
昨年より平均が20点近く下がる模様である。
昨年国語が簡単であったとは言え、前年より平均が7点高くなったに過ぎなかった事を考えれば
平均で20点下落という今年の衝撃度がいかほどのものか推察されるであろう。
だいたい前年が簡単であると
反動で翌年は難しくなるのが相場であるが
作成者もさじ加減が分からないらしく
振れ幅が大きい。
受験生にとって今年は現代文が特に難しく感じたらしい。
第1問の論説文が小林秀雄、第2問の小説も大正時代の作家のもので
言ってみれば今までの傾向と異なって
古い作家・文筆家の文章である。
いろいろな評価があるであろう。
第1問をやってみたが、私は悪くないと思う。
そもそも択一式というセンター試験の問題形式がまずいのではあるが
受験生に一定の知性を求めるという意味で
取り上げられた題材に関しては私は良い問題だと思う。
高校生の知性は大学入試の問題に規定される。
入試問題が幼稚な作家の文章であれば
日本の若者の知性は幼稚になる。
こういう時代であるだけに
小林秀雄レベルの文章の復権は
若者によい意味で思考を沈潜させる落ち着きを求めることになるし
何より軽い英語をすいすい読み進む帰国子女の有利性が際立つ現在の大学入試に
ひとつのくさびを打つ効果もあるように思う。
今回大きく国語で失敗する受験生が続出する中で
190、180点台を取っている生徒も少なからずおり
彼らは押し並べて読書家なのである。
もし今回のセンター試験が
付け焼刃の受験技術ではなく
根本的な読書の必要性を
受験生や受験指導者に再認識させるものになるのであれば
社会全体としては大いに益ありである。