先日名著「思考訓練の場としての英文解釈」の著者、多田正行先生の入院先にお見舞いに行ってきた。
私が受験生であった当時
この「思考訓練の場としての英文解釈」は
Z会とならぶ通信添削「オリオン」の会員だけが購入できる参考書で
著者多田先生は会員にとって神様的存在であった。
私もこの書で英語を鍛えた者の一人であり
その知的・論理的な内容が
若き向学心を大いに満たしてくれたことであった。
ただ、数年して「オリオン」社がなくなったと聞き
さびしい思いをしていたところに
縁あって取引先となった育文社が
この書の版権を譲り受けて市販していることを知り
その奇遇に仰天したことであった。
先日山田社長からお見舞いのお誘いがあり
二つ返事でお供したことである。
先生はすでに78歳になられ、ベッドに寝た状態での会話であったが
受験界にこれほど大きな足跡を残した大先生に直接お目にかかれたことは
大変光栄であった。
名のみ知る偉大な人物に
40年にしてはじめてお会いするというのは
それはそれは感慨深いものである。
そのときベッドサイドに多田先生の妹様が二人いらっしゃって
一人は徳島大学の介護関係の教授をしておられ、
丁寧なご挨拶をいただいたのも感激であった。
その後の情報では先生の様態は決してよいものではないという。
どうかこの大事な命が快方に向かわれることを
切に切に祈るばかりである。