先月末の代ゼミのニュースは
かなりインパクトの大きいものであった。
その後新聞や週刊誌で特集記事が組まれたほどである。
少子化とはよく言われることであるものの
なかなかに実感が持てないでいた向きも多かったようであるが
今回のニュースがそのことを
受験業界にとどまらず、広く各業界の年配者たちに
実感させる働きをしたようである。
何しろ年配者たちにとって
「代ゼミ」という響きはノスタルジーを伴った
ある種の感懐を引き起こすほどのものだからである。
ちょうど映画「男はつらいよ」をBSでやっていて
寅次郎の甥、光男が浪人生の設定。
代々木駅から浪人生がぞろぞろ代ゼミの校舎に向かうシーンが
象徴的に挿入されていた。
報道では浪人生が数万人しかいなくなっていること、
とりわけ文系が少ないことが背景として述べられていた。
しかし、ものは考えようである。
そういういまだからこそ浪人して
昔は手が届かなかったようなレベルの高い大学に入るチャンスである。
先月発売の「医大受験」で
18歳人口が半減しているのに東大の定員は変わらないのはおかしい旨、
「羅針盤」コーナーで記したが、
先日立ち寄った書店で手にしたある経済本に
同じことが書いてあった。
東大は
昔は「入るのが難しいが、出るのは簡単」だったが
今は「入るのも、出るのも簡単だ」と。
であれば、浪人して東大目指したほうがよいだろう。
普通の受験生には高嶺の花であった早慶も
今は少しがんばれば手が届く。
受験生にとって千載一遇のチャンス到来である。
そういう揺り戻しはきっとあるはずである。
しかし、日本の学生のレベルが下がることは困りものだ。
浪人ではしっかりと「本物の実力」をつけて
大学に進んでほしいものである。