吉田 生吹さんの合格体験記
東京医科大学 正規合格
吉田 生吹(私立市川高校)
私立医学部コース
はじめに
この体験記では、私がGHSでの教えを受けて、大切であると感じたこと以外にも、具体的に実践したことなども記します。そのため、私がとった勉強法や使った参考書を天下り的に真似るのではなく、先生から教えられたことを私がどのように受け取り、それを成すためにどのように考えて勉強したかというプロセスに焦点を当てて参考にしていただければ幸いです。
1. GHSで学ぶ前提として大切なこと
■目的と目標を明確に持つこと
受験をする人はみんな志や将来のやりたいことがあると思います。その志などの目的に対して、行かなければならない大学や学部があり、大学に進学することは目標となります。しかし、受験勉強を続けている間にこの目的と目標がすり替わってしまう、つまりゴールを大学合格にしてしまうとその人の器が小さくなってしまい、成績向上への障害になってしまいます。そのため、自分の中で明確に目的とそれに対する目標を持ってGHSで一年過ごすことが大切であると思います。
私は自分なりに目的と目標を持ってGHSでの学びをスタートさせましたが、一度だけ自分の目標が目的に対して正しいのかがわからなくなってしまい、勉強が手につかなくなってしまったことがありました。その時、もう一度本などを参考にしながら目標について自分の中で納得するまで考えました。再び目標が定まった時、自然に楽しく勉強に専念できるようになりました。ちなみに、私はGHS入塾時とこの時に吉田松陰の本を読んだり、中村文昭さんの講演を聞いたりしました。受験を終えて、あの時に出発点から考え直したことは大切なことであったと実感しています。また、入塾して時が立ち、よくなった頭でこのことをもう一度考えるのもいいと思います。さらにこれらの意味で人間としての器を大きくすることは、一見受験に関係ないようですが勉強をする上で、とても重要なことだと思います。
■弟子入りするということ
GHSに入塾するというのは言い換えると、「弟子入りする」ということです。私は、自分の都合を考えずに、言われたことを素直に受け入れることが「弟子入りする」という上で、とても大切であると思います。先生方に比べて、教わる学問の中身だけでなく、認識能力そのものが幼いのに、言われたことを自分の器の中で判断してしまうとGHSでは伸びません。教わったことをまず受け入れてからよく考えるのが正しい順序であると思います。
私は具体的に、心の中で「0.2秒で返事をする」と決めてGHSでの日々を過ごしました。未熟な自分の脳で考える前に、まず受け入れる、という考えの表れが「0.2秒で返事をする」ということであると前述の中村文昭さんがおっしゃっていました。
私は特に上述の二点がGHSで学ぶ前提として、大切であると思うので、このことについてよく考えるといいと思います。GHSでは、成績の伸び率は、学習面での出発点の高低を問いませんが、心のあり方や精神的な豊かさは重要な要素になります。高校生の時に部活動ばかりしていた、という人は学習面では他の人に遅れているかもしれませんが、部活動を通して色々感じたこと、考えたことは必ずGHSでの日々につながると思います。後述しますが、事実私も部活動に打ち込み、様々なトラブルもあって、医学部受験生とは決して言えないような成績でGHSに入塾しています。出発点は気にせず、楽しく、考えて勉強できればいいと思います。
また、これらのような勉強以外のことも、GHSの先生方は親身になってアドバイスしてくださるので、相談すると、考えが進むのでいいと思います。
2. GHSで学んだこと
■一般的なこと
GHSにおいて、全ての教科で共通して育むべき能力は、立体的な認識能力と、論理的な思考能力であると思います。
立体的に認識するというのは簡潔に「抽象」と「具体」、「一般」と「特殊」の思考方法により、事項が次元によって区別され、頭の中にその全体像が整理されるということです。この能力を育む上で、GHSではイメージ化、対比に重点が置かれます。
イメージ化というのは、事項の内実を深く理解する上で不可欠だと思います。日本語で扱う文字、英語のアルファベット、数学で扱う記号などは、それ自体に意味があるものではありません。物事を学ぶ時に、イメージとして理解しようとせず、その記号の操作に陥ってしまうと、全体像どころか、個々の事項が深くは理解されず、結果として全体における位置づけがわからなくなってしまいます。
イメージを通して、その意味が深く理解されれば、他の事項との違いや共通点などにも目を向けられるようになります。これを明確にする上で対比が大切になります。対比によって、一致、類似、逆、または次元の違い、すなわち一般と特殊、抽象と具体の関係性がはっきりと分かり全体像が鮮明に作られていきます。
全体像というのは、全体がなんなのかを考え、そこからよりミクロな視点を持って個々の事項を理解し、さらにそこから再びマクロ的な視点を持って全体へと還元しその内実を濃いものにする、という思考を循環することで出来上がっていくものであると思うので、これらの事柄を意識して学習するといいと思います。
論理的な思考能力は、文章を読む、書くということはどういうことなのか、各教科において、問題を解くというのはどういうことなのか、ということがわかっていると自然に育まれると思います。それを踏まえて、いかにして実力をつければ良いのかを考えていきます。これらがどういうことであるかは、GHSで1年を通して教わったり自分で考えたりするしかないと思います。
私は後期になってから少しずつこれらのことが分かり始めましたが、そうなると、前期に教わったことはこうこうこういう意味があったのか、とわかってきます。先生方は上記のことがわかっているので、GHSでは学習の仕方の体系の中で生徒は学ぶことができますが、学ぶ側もこれらについて主体的に考えて、今学んでいることは学習の仕方の体系のどこに位置付けられるのかということを考えると、勉強に取り組む姿勢がわかり、飛躍的に成績が伸びると思います。
私は11月頃になってこれらのようなことを自分から意識的に考える重要性に気づき、考え始めて、納得できる答えが出たのは1月頃でした。それでも、そこからの1ヶ月の学習で問題がぐんと解けるようになりました。そのため、問題を解くというのはどういうことなのか、いかに実力をつけるかなどのようなことを考えるのは、結果的に実力をつける上で近道であったと思います。
以上のような能力はGHSで各科目を勉強する中で、その科目を超えるものとして習得していくものです。GHSでは教科に留まらない能力を1年間通して育んでいくので飛躍的に実力がついていくのだと思います。
■各教科で学んだこと
ー<省略(資料には全文を掲載しております)>ー
3. その他
■高校での学習状況など
私は一定の進学校である私立の中高一貫校で六年間を過ごしました。中学の時から勉強時間はしっかり取っていたので高一までは、成績も良い方でした。しかし、より本格的に受験勉強が始まって行く高2になるといくら勉強をしても成績は落ちる一方でした。具体的に、朝6時には家を出て、学校の自習室で勉強をし、授業が終わって部活動があり、終わってから8時に家の近くの塾につき、10時30分まで勉強をして、寝て起きて、と頑張っているつもりで過ごしていました。部活を引退してからも一日14時間程度勉強時間を取っていましたが、全く成績は上がらず、どん底の状況でした。早い段階で、勉強が進まないことから、勝手に浪人することに決めて、せめて数学だけでも受験のレベルに、という思いで夏以降勉強していました。結局受験時までに、化学、物理はほとんど手をつけられず、英語も夏以降触れていないという状況でした。受験の時は英文が全く読めず全て運試しのような回答をしたことを覚えています。勉強していたはずの数学も結果的には何もわかっていないまま、ただ問題演習をしては悩み続けるということを続け、試験の時には3割も取れないような状況でした。
成績が伸びないだけでなく、高校時には問題をたくさん抱えていました。特に学校の先生には医学部を受験することを馬鹿にされることも多く、これでもかというほどに追い込まれてしまいました。今になって思うと、1年前の自分は精神的に病んでしまっていたと思います。
受かる可能性など全くありませんでしたので、たった一つだけ医学部受験をして現役生を終えました。受験を終えて、母親と今後の進路を話し合った時、母は当時の私の成績だけでなく心の状況も見て、本当に来年も医学部受験をするのかと、いくらやっても入れないこともあるから改めて真剣に考えろと言っていたのを覚えています。そのくらい、周りから見ても追い込まれたどん底の状態でした。学校の先生に言われた言葉や、部活動での不条理で、大人を嫌いになり、「もう大人からは何も学ぶことはない!」なんて言って、宅浪しようとしていたのですから、母の言葉は必然であったように思います。
時間軸がずれてしまいますが、私は高3の1月に人生の転機がありました。化学に全く手をつけていない、浪人もほとんど決まっているということから、化学の勉強を0から始めようと決め、ネットで何冊もの化学の参考書を探しました。有名な参考書も選択肢にはあったのですが、いまいちピンとこないので、さらに探し続けて、『体系化学』に出会いました。そこからGHSのホームページのテキスト公開コーナーを見つけ、『体系化学』の前半部に取り組みました。当時どん底にあった私ですから、『体系化学』に取り組み、「なんじゃこれ〜!」というほどの衝撃を受けたことを今でも鮮明に覚えています。急いでネットで買い、一月は丸々1ヶ月この本だけ取り組んでいました。そのため、「受験時には、化学に全く手がつけられなかった」と前述しましたが、『体系化学』だけは1周やりきっていたので、試験時にも化学計算の部分だけは解けるようになっていました。
大学受験の不合格が発表されると、両親に『体系化学』での自分の成長のことを話し、GHSで学びたいと伝え、すぐに面談を申し込みました。その時は、「化学だけでもこんな学びができればいいな」という思いで申し込んだのですが、村田先生と面談をし、「ここは何かが違う!」と感じてすぐに入塾を決めました。この日から、本当に楽しいGHSでの浪人生活が始まりました。広告の少ないGHSですから、本当に奇跡のような出会いであったと思います。
■プレ期について
私のどん底の高校生活のおかげで、GHSでの学びを始めたのは2月1日でした。『体系化学』に取り組み始めたのが1月初めだったことを考えると、今までの誰よりもGHSでの浪人を始めたのかもしれません。
GHSで配られた資料に、受験は長丁場であるからプレ期はほどほどに、という趣旨のプリントがあったのですが、『体系化学』や村田先生の授業で、学びの楽しさに火がつき、「いつくるかわからないエネルギー切れのような時期のことなんて考えてられない!」という思いで、GHSの教えに従い勉強を開始しました。浪人が決まった受験生の2、3月というのは、遊んでしまったり、休みを入れたりするのが普通だと思うのですが、この2ヶ月で卒業式やその予行、部活の引退試合などを含めて私が休んだ日は、5日だけでした。
受験を終えて、最後の1ヶ月にぐんと伸びたことを考えると、プレ期の勉強無しには合格はなかったと思います。なので、これからGHSで学ぶ方に、自分の経験を含めて特にプレ期には何をすべきかを記したいと思います。(村田先生に伝えられたことをするのが大前提です)
GHSで学ぶにあたってプレ期に取り組むべきこととして主に勧めたいことがあります。
一つ目は、何と言っても『体系化学』です。前述した通り、『体系化学』は立体的認識能力を、全くそのような思考法を持っていない人であっても、ゼロから育むことができるという上で最良の本であるので、早いうちにこれらの能力を育むことができます。プレ期にあまり時間がないという方でも、この本だけは必ず取り組んで欲しいと思います。
二つ目は、『体系物理読本』です。全く物理がわからないという方は、力学、熱力学だけ取り組めれば、いいと思います。
三つ目は、『数学セメント』の二次関数です。他の分野は当時の私にとって解けない問題が多く、手がつけられませんでしたが、それが功を奏し、二次関数だけを村田先生に教わったことを意識して、2ヶ月間何度も反復し、学ぶことができました。特に、<最大、最小2>を通して、学んだことは、他の数学の問題を取り組む上で非常に役立ちました。村田先生の授業で学ぶことは、もちろん二次関数という分野を超越したものであるので、そこに意識を向けられるといいと思います。
プレ期の重要性などを記してきましたが、何よりGHSで感じて欲しいことは、勉強が楽しいということです。私は今までの人生の中でGHSで過ごした1年が一番楽しいものであったと感じています。それは、問題が解けるようになったから、今までわからなかったことがわかるようになったなどの次元の喜びのことではなく、もっと深い次元においての自分の成長を感じる喜びであると思います。そのため、勉強が楽しくなく、行き詰まってしまった時は、長い目で受験を考えて一息つき、そしてまた楽しく勉強を始められればいいという考えもあると思うので、プレ期についても、よく考えるといいと思います。
■悪かったこと
私は、東京医科大学の合格が出るまで、すべて一次不合格でした。他の受験校がすべて東医より難しい大学であったので妥当な結果でしたが、東医の一次発表がある前日、真剣に2浪について考えていました。GHSで学び、一年で私大の医学部に入れないということは、必ず自分に至らないところがあるのだと考えていたので、自分で悪かったことを考えてから、田川先生に相談に行きました。これからGHSで学ぶ方の参考になればいいと思うので、その時に浮かび上がった自分の悪いところの一つを記したいと思います。
それは、思考の緻密性の欠如という点です。この体験記の各章の終わりに「このことについて、よく考えるといいと思います。」と記しているのですが、これは、私がたまに思いつきで行動してしまい、それが受験につながってしまったと感じているので、よく考えて欲しいと思っているからです。
私は第一志望校の問題で読み間違えをしてしまい、75点分落としてしまいました。もちろん落ち込みましたが、普段の自分のあり方に問題があるとは考えていませんでした。しかし、私は私医コース教室の自分の机の周りを参考書で乱してしまったり、忘れ物をしてしまったりすることが非常に多くありました。当然、勉強もテストのような緊張感の中でやるときと、リラックスして抽象的なことを考える時などのメリハリをつけられなくなっていました。これらのことと、試験問題の読み間違えの中にある一般性は思考(注意)の緻密さであると感じました。問題を読み間違えるなどのことを軽く考えていた(田川先生に指摘していただきました)ことが、日々の私生活とつながって、第一志望校での受験に出ました。もう一年GHSで勉強するにしてもまだまだ直さないといけない性格や育むべき能力があるとわかったので、もし、もう一年やる場合も大きく成長できるなと思ったことは事実です。それでも、これからGHSで学ぶ方には、私のようなミスをして欲しくないので、このことについてよく考えるといいと思います。
合格体験記としては異常な分量になってしまいましたが、GHSでは、この分量よりはるかに多くのことを感じ、学ぶことができます。そうして、深い次元における自分の成長を感じて、素直に楽しく勉強することができれば、1年であろうが2年かかろうが、いつか目標がかない、自分の目的へと進むことができます。GHSはその名の通り、「最高の希望を与える学び舎」であると思います。
最後になりますが、この場を借りて、今までにない成長の場を提供していただいたGHSの先生方、スタッフの方々に、心より感謝申し上げます。