前々回の「受験勉強の留意点」で,

受験勉強が「文字や記号を扱う」ことの問題を指摘した.

「文字や記号を扱う」ということには,実はもうひとつ大きな問題が伴う.

それは,現実世界では割り切れていないものを,

割切ってしまうということである.

「赤いりんご」というとき,赤にはいろいろな赤があるはずだが,

「赤」で割り切ってしまう.

「光沢に欠けるややくすんだ赤」とかいろいろ形容をつけても,

「割切り」であることからは逃れられない.

割切りがあるからこそ,そこを想像力で補う知力の養成に意義がある,

という意見が出てくることにもなっていくのだが,

問題は,指導者が「割り切れていないものを,あえて割り切っている」

という事実を分かった上で受験指導していかないと,

受験勉強が弊害になることも出てくるという点である.

数学・物理などは割切りの最たるものであろう.

中学時代のバネの実験を記憶している人もあろうが,

重さと長さの関係が決して直線にはならなかったはずである.

でも,「直線」と割り切る.

問題はそれが悪いことなのか,良いことなのか,

それをどう扱って指導することが,

受験生を受験勉強でスポイルせず,

受験の成果も出した上で,

受験後の可能性をも大きくしてやることになるのか

という指導者側の問題である.

続きは次回に・・・.