割切りの弊害について前回は述べたが,
今回は良い点を見ておこう.
現代文や英文を読解ができない生徒を見ていると,
文の持っている形を分かっていない.
子供のころから読書をよくしていた生徒は
それをいつの間にかいわゆる“勘”として身につけているのだが,
それができていない生徒は今から意識的に身につけるしかない.
文の大事な形のひとつが「対比」である.
文の「内容の対比」が,
当然「表現の対比」となって表れている.
文が複雑だとそれが見抜けない.
まず,簡単な対比表現でその形を身につけることである.
その格好の教材が「漢文」である.
古典の時代はまだ物事の解明がそれほど進んでいなかったから
その文章表現も自ずと単純であることが多い.
その典型が漢文である.
物事を単純に2つに割り切って,その対比構造の文展開となっている.
それに学ぶのである.
漢文恐るべしである.
漢文で文構造の基礎を身につけることが
読解力養成の近道なのである.