親御さんが相談に来るケースで多いのが、

子供がやる気がなくて困っているというものである。

子供に会ってみると、彼らに共通しているのが、

“憧れ”のなさである。

勉強以外に何か憧れを抱いているものがあるのならば

それが社会悪にかかわるものでない限り

何の問題もない。

かわいそうなのは、何にも憧れを抱いていないことである。

憧れるということ自体を知らないようなのだ。

憧れがあるから、人間は自ら進んで取り組んでいく。

憧れという感情はみずみずしい感性があってこそ生まれるし、

豊かな感性は、みずみずしい自然と、

生の人間関係に直接触れてこそ育つ。

自然が少なく、人間関係の薄い都会に育つ子供には

親が意識的にそれらに接する機会を作ってやる必要があるだろう。

私が不思議に思うのは、

都会に育つ我が子に

親が平気でビデオゲームを買い与えることである。

都会にいて、ただでさえ感性が豊かになりにくいのに

さらにヴァーチャルな世界に接する時間を多くして

わざわざ感性を一層鈍くさせていくのである。

それで「うちの子はやる気がなくて困ってます。」

と相談に来られても・・・。

というのが、こちらの本音である。