初志貫徹は難しい。

多くの人は何かと理由を並べ立てて、

初志の変更を自らに納得させる。

時が移れば、条件が変わってくるものだから、

当初の予定を変更することはあってよいし、

それはむしろ柔軟な対応と言えよう。

しかし、「初志」というからには、

それは単なる「予定」や「目標」のレベルではなく、

「志」のレベルなのであるから、

そう簡単に変えてよいものではないし、

そう簡単に変えないレベルのものとして

その志の内容を設定したはずなのである。

そうした重みのある志を変更してしまうことは、

変更により得られる目先の利益よりも

何倍も大きなものを失うことになる。

そこにこそ目を向けるべきではないか。

初志を貫徹できなかった自分が確立されてしまうのである。

頑張れなかった自分、

そもそも安易に志を立ててしまう自分が

確立されてしまうのである。

それだけではない。

安易に志を曲げると、人に信用されなくなる。

今度何か熱く語っても

人はそれを信用しなくなるのだ。

まもなく、10月。

受験生にとっては、夏までとは違った

苦しい時期に入ってくる。

自分の未熟さが見え始め、

先行きに不安を覚えだす時期である。

しかし、人間、そう先行きを正しく読めるものではない。

安易な自己判断をして、初志を曲げてしまえば

初志を貫くことで見えてくるものを

一生知らずに終わってしまうのである。

初志を貫徹すること自体の重さを

若い時期であるからこそ体験してほしいと思う。

歯を食いしばって初志貫徹に向けて頑張る受験生に

声援を送りたい。