高2のある生徒から聞いた話である。

妹が今年中学受験でやっと進学先が決まったということである。

めでたしめでたしである。

ところが、中高一貫の有名進学塾があって、

そこは中1で中学の内容を終えてしまい、

中2から高校の内容に入るのだという。

東大にたくさんの合格実績を持つ

その方面では名だたる進学塾である。

いわゆる先取り学習、飛び級学習で

成果をあげているわけである。

だが、果たして正しいあり方なのであろうか。

確かに、頭が柔らかく、

吸収力に富んでいる年齢である。

やってやれないことはないであろう。

しかし、やってやれることと

やってよいことは別である。

そうやって「学業成績」を獲得することで

逆に何を失うことになるのか

親は、塾の指導者は考えているのだろうか。

目先の利益を追い求めることで

本質的な何かを見失うことの愚かさを

われわれはリーマンショックで学んだのではなかったのだろうか。

資本主義はまだまだ目先の成果をちらつかせて

人々をまがい物へ引っ張っていく力を失っていない。

日本人が大人になるのにはもう少し時間がかかりそうである。