たくさん勉強してきているのに学力がなく

親が困って相談に来るケースがあるのだが、

その子供たちに共通する傾向として

自分のことしか考えておらず、

話をしていてガッカリするほどに

知性の低さを感じるということがある。

話している時の態度の無礼さ(本人にはそのつもりはない)はもちろんのこととして

一番困ったなあと感じるのは

感謝する心を持っていない点である。

考えて見ると、感謝することができるのは

自分を取り巻く状況を

人間関係の広い範囲にわたって

そしてこれまでの経緯という歴史的・時系列的視野において

大きく、深く理解できるということであるから

相応の高い知的水準を必要とするものである。

もちろんパズル解き能力が高いだけの

IQ秀才には無理な話である。

連れてくる母親はたいへんまともなのに

なぜその子供はこうも自分のことしか考えられないのか

不思議で仕方がない。

まさか、「育て方を間違えましたね。」とも言えない所が

こちらの辛いところである。

年齢を重ねれば当然に形成されてくる知性ではあるが

自然成長性に任せておくだけでなく

年相応にそれを理解できるだけの教育を意図的に施すことが

人間の人間たる所以であろう。

十代後半にして

まだ中学生並みの感謝の心しか育っていない若者を

立て続けに見る機会があって

しみじみ思った次第である。