とにかくこの時期は忙しい。

入会希望者の面談もさることながら

入会者に対する最初の指導を私が直接行うからである。

何回かに渡って一人に5,6時間かけることになる。

それを約30人分こなすのであるから、

忙しいわけである。

直接には数学を使ってやるのだが

数学を教えているわけではない。

すべての科目に共通する頭の働かせ方の

方向付けを私がやるのである。

情報化のこの時代、

全国の受験生の誰もが、よいとされる教材を手にすることができる。

しかし、同じ参考書を用いても

生徒の間に実力差が出るのはなぜか。

それは根本の発想が人によって異なるからである。

同じ参考書の同じページを見ても

人によってそれに対する問いかけが異なるからである。

実力のない生徒は、

正しいことを教わってきたのだが

根本的に間違った発想で学ばされてきている。

そこが受験で成功するかどうかの分かれ目となる。

だからその根本の発想を塾長である私が最初に教えるのである。

私が教えるのはたった二つのことである。

当たり前の二つのことなのだが

それを意識して受験勉強するのとしないのとでは

結果として雲泥の差がつく。

当たり前で簡単なことなのだが、

これを常に意識し続けるということは

なかなか難しいらしい。

3年前に筑波大学の医学部に合格していった村松君は

それをよく理解した生徒であった。

決して理系的な才能に恵まれていたわけではなかったが

数学も大きく伸び、天野先生の『体系化学』も

真髄まで理解するにいたった。

前年より平均点が50点も下がったセンター試験で

825点(900点満点)とっていることも彼の実力の伸びの一端を示していよう。

彼はときどき私のところに質問に来たのだが

その内容はいつも上述の二つのことに関わるものであった。

私は彼の質問を聞くたびに

「ああ、この生徒はずうっと意識し続けているのだなあ」と

いつも感心したものである。

受験は全国のすべての受験生がみな同じことを勉強する。

でも、根本においてどういう発想で勉強するか

つまり頭をどう働かせるのか、で

実力差が天と地ほども異なってくるのである。

したがって、

縁あってGHSを頼ってきた生徒に

日々、くたくたになりながら、

この二つのことを伝道?している毎日なのである。