受験は戦いである。

何しろ、限られた定員に対して

何倍もの志願者が殺到するのであるから。

戦いには甘い情の入る余地はない。

これが良いのである。

これが若者を人間にするのである。

のんきに人生を生きられるはずはない。

受験は

何かと理由をつけて自己弁護をしていれば

戦いに負けるしかないという教訓を得る

格好の場なのである。

今のんきな日本がその現実を

中国に教えられているところであろう。

長年受験を見てきているわれわれ教師は

生徒を見ていてこの子はいける、この生徒は厳しい

との判断が大体つくものである。

それはひとえに本人が受験が戦いであることを

分かっているか否かにある。

勉強が進ない理由を滔々と語る生徒、

手を差し伸べてほしいと甘える生徒、

自分を分かってほしいと訴える生徒、

その子たちに成績が伸びない一番の理由を分からせるのは

教師にとって本当に難しい仕事である。

争うことを避けるべきこととする現在の日本の風潮の中では

なかなかたくましさは育たない。

人生は戦いであることを親が子に教えないと

子供がゆくゆく苦労することを

現代の大人はもっと深刻に認識すべきであろう。