大学入試に対するよくある批判に

「一点の差で人生が決まるのはおかしい」というのがある。

オリンピックの陸上や水泳の百メートル競走で

零コンマ何秒、あるいは零コンマ零何秒を争って

金メダルを目指すアスリートたちに熱烈な声援を送っていながら

大学入試の一点差はけしからんと言う理屈もおかしいのではないだろうか。

アスリートたちが自分の記録を零コンマ1秒縮めるのに

どれだけの努力をするかを知っているからこそ

勝利者をたたえるのであろう。

試験も同じである。

たかが一点ではないのである。

受験生なら、

何度テストを受けても

自分より実力あるライバルが

わずかではあってもやはり必ず自分より高い点を取る悔しさを

経験しているはずである。

一方でインフレ率2%を謳いながら

大学入試の点数化を否定しようとする政府の矛盾こそ

批判されるべきであろう。

確かに点数化には問題もある。

しかし、面接や小論文では学力は測れない。

問題は点数化自体にではなく、

点数が最大限正しい学力を反映するような

試験問題の質を確保することである。

これまでの大学入試で評価してきたエリートたちの

何が正しく計られ、何が計れなかったのかを

正しく分析し、

共通一次試験からおかしくなった

大学入試問題の質を正していくことが急務である。