さて、入試シーズンが静かに進んでいる。
うまくいって喜んだり、失敗してがっかりしたり。
私大医学部では一次試験の合格が出始めているから、
喜んでいる人もいれば、それを横目で見ながら辛い思いをしなければならない人も出る。
入試も競争である以上、仕方がない。
人間の持つ力はすべてにわたって創っていくものであるから、
耐えることもしかりである。
「耐える力」も学力と同様創っていくものである。
「耐える力」を生まれもってこの世に出てくるわけではない。
だから、一度もつらい思いをしない人生を歩むことはできないし、
もしそういう人生を歩めば、耐える力を全く持たない自分が出来上がっていくことになる。
そういう人間がもし何かあったら・・・と考えてみれば、
これは恐ろしいことである。
だから、残念ながら、人間はつらい思いをしなければならない。
そのつらさを我慢し、「こらえる力」を養う過程を持たなければならないのである。
「こらえる力」とは
その痛みを感じながらも、痛みに閉じこもるのではなく、
痛みに歯を食いしばりながら、前を向く力である。
学校ではいじめの問題がよく取り上げられる。
「いじめをなくそう!」と叫ばれる。
一方で
「いじめを跳ね返す教育をしよう!」というテーマはあまり表に出てこない。
両方が必要なのである。
通常の子供を無菌状態で育ててよいわけはないのと同じである。
共通テストも終わった今、全国にはたくさんの“耐えている”受験生がいることであろう。
それは将来にとって良いことなのだ。
歯を食いしばって前を向くことだ。
それは学力とともに
自分の人間としての力を創っている過程であることを忘れないことである。
7年前、85歳で亡くなった母が
私が子供のころに言った言葉を鮮明に覚えている。
「苦しいときは、こんなことに負けてられない!と思わなくちゃダメなんだからね!」
忘れられない言葉である。