私がなぜ教師の道に進んだのかと言えば、教えることが好きだったからである。
それは若い時の体験に基づいている。
私が創り上げた勉強方法に基づいてある二人を教え、その二人が飛躍的に伸びた体験である。
二人のうちの一人は「私自身」であり、これはホームページの私の紹介文で簡単に触れている。
もう一人は、大学生の時に小学校6年生の女の子を家庭教師した体験である。
その子は算数がたいへん苦手で、私が教え始めた時の成績は惨憺たるものであった。
当時は「四谷大塚」が都内の中学受験で一番人気があったが、
その大手学習塾が毎週実施する日曜テストで、
彼女は100点満点の問題で30点ほどしか取れず、最低では12点という答案を見せてくれた。
まだ「式と計算」という内容でその点数であるから、これから文章題の世界に入っていこうというカリキュラムを考えると、
この先思いやられる貧しい算数の学力であった。
私は6月1日から教え始めたのであるが、
結論から述べれば、
四谷大塚準会員3400人中3200位であったその生徒が、
半年後には14位(算数と国語を併せての順位)にまで昇りつめたのである。
当然この頃は、旅人算、流水算、鶴亀算といった
算数を苦手にする生徒たちが特に嫌がる「文章題」がたっぷりのカリキュラムに入っていたわけであるが、
もはや算数で普通に96点を取るようになっていた。
余談ながら、ご両親にはたいへん感心され、喜んでいただいて、特別なボーナスを賜わり、
当時としては珍しく、学生の身分ながらリュックサック一つ背負って
40日間ヨーロッパを気ままに旅する経験を持つというおまけがついたのであった。
私自身がもともと凡庸な人間であるから、
それがどうすれば学力を伸ばすことができるかということに
たいへん興味があり、高校時代より何かと思索を深めてきたいきさつがあった。
そこから人間の能力の成長・発展ということに興味を持ち、今に至っている。
GHSはその実践の場であり、
私の考えに共鳴するスタッフ、
そしてGHSで育って今GHSで教える側になっているOB・OGスタッフが
それをさらに深めてくれているというのがGHSの現状である。
GHSはこの先もっと進化するであろう。
GHSの進化とともに、
日本の受験勉強が現在抱えている負の側面が少しずつ消え、
若者にとって生産的なものに変わっていくことになるはずである。
少し奥歯に物が挟まった言い方であるが、
それについてはいずれまた別の機会に記させてただくことにしたい。