前回の続き.

受験勉強の特徴は,「直接には文字や数式といった記号だけを扱う」ということである.

「アラスカ」という文字は見るが,

決してアラスカを“体験”しはしない.

本来,記号は何かを伝える媒介物であるから,

記号を見たら,その記号が表している元のものを

可能な限り想像しなければならない.

「アラスカ」という文字を見たら,寒気を催さなければおかしいのである.

ところが,ともするとただ「アラスカ」という文字だけ見て

分かった気になって終わってしまう受験生が多い.

4分の3を掛けたのに

数値が大きくなってしまっても違和感を持たず,

単なる計算ミスだと軽く捉えている人は,

自分の根本的な問題をしっかり反省すべきである.

数学は特にその危険が大きい科目である.

数字と文字の操作としてだけ数学を勉強してしまっていないか

反省してみる必要がある.

文学作品を面白くて読んだ場合と,仕方なく読んだ場合では,

文字の背後への入り方がまったく違ってくる.

受験を自分の糧とできるか,

弊害としてしまうかの分かれ道がここにあることを

受験生は肝に銘じて欲しい.