記憶するということは必要なことであり,

記憶力というのは重要な能力である.

「詰め込み教育」批判で暗記が悪者となり,

小学校の社会科は「私たちの町の下水道を調べよう!」

となってしまった.

その結果,ベトナムがどこにあるか知らない受験生

マルクスって誰?という受験生が

大学を目指すことになった.

暗記は悪いことではない.九九の暗記は必要である.

ここでは暗記については少し置くとして,

受験生に勧めたいことのひとつに名文の暗誦がある.

私自身の経験としてやってよかった,

もっとやっておけばよかったと思うのが

文章の暗誦である.

生徒の添削をしていると,とにかく日本語が書けないことに驚く.

言葉は自分で作るものではなく,習うしかない.

誰に習うかといえば,もちろん一番文章のうまい人に習うにしくはない.

それがひとつには古典であろう.

うまいから古典として残ってきた.

「国破れて山河あり・・・」

「祇園精舎の鐘の音・・・」

何でも良い.

あるいは,三島由紀夫など近代の文学史に出てくる名文家

(自分がそれを名文だと感激できればそれでよいであろう)

の文章を暗誦するのである.

どういう効果があるかは,やってみれば分かる.