GHSで3年チューターを務めてくれたT君が
9月からドイツに留学することになった。
東大の理?に入学後、哲学系、西洋古典系に転じて、
古代ギリシャ語、ラテン語、ドイツ語、フランス語などを勉強中である。
先日話をしていて、
フランス語は短い文が多く、
ドイツ語は構造が多重化した長い文が多いという話になった。
カントやヘーゲルにいたっては、
一文が一ページに収まらないとのこと。
名詞の前に長い形容句がおける点で英語とも異なる。
ドイツで深い概念を追い求めた哲学が発達しえた理由のひとつでもある。
しかし、日本語は実に不思議にしてすごい言語だと思う。
ドイツ語以上に多重構造を持てるだけでなく、
平易な言葉と深い概念をもつ言葉とを使い分けることができ、
かつ、文法がいい加減であるとともに、柔軟性を持って、
また感性的である。
私は英語の得意な日本人がたくさん出てきて良いと思うが
国民全体としては
母国語としての日本語を深く、広く、豊かにモノにする
知的活動を最優先すべきだと思う。
今回の法案審議、新国立競技場、大企業の不正経理のお粗末、
そうしたものに国民全体として批判を投げかけることができるのは
日本語による知的レベルの維持があってのことであると思う。
人間は言語で考える。
その言語の重要さを共有しつづけたいものである。