旬報『ORION』には解答・解説のほかに
その年大学に進学した人たちの「合格体験記」と
現受験生の交流の場としての「南船北馬」があった。
「合格体験記」は文字通り受験期の悪戦苦闘の記録と後輩へのエールといった内容であるが
知性のレベルの高い若者が真摯に書いたものであるから
読み応えのある、そして実際後輩たちにとって有益な内容で
今読んでも当時の受験生のレベルの高さが伺える。
もちろん書いた本人が今読み返せば
「若気の至り」と赤面する部分もあろうが
時代は日本がまだ発展途上で決して豊かではなく
学生運動も大きなうねりを生み出していた。
国際情勢は東西冷戦が厳然としてあり、
思想家・評論家の発信も盛んで
勢い高校生・受験生もそうした話題に
自分の考えを構成する知的活動があった。
今の受験生よりは圧倒的に読書量は多く、
文章のあちこちにその教養が顔を出している。
当然のことながら、受験生ゆえの当面の悩みがまずあり
しかしそれを自問する高く広い視野の知性がある。
「合格体験記」でその軌跡を語り
「南船北馬」でそれを吐露し、ぶつけ合う・・・。
そういう日本全国の受験生のコミュニティがあった。
「オリオン」はその一つの、しかし間違いなく上質な、〝場〟であったと思う。
つづく