速く処理することは一面でよいことであるが、

物事には順番がある。

人間が知的な、あるいは身体的な技術を身につけていく際には、

必ず最初はゆっくりである。

自分が得意とする技術について過去を振り返ってみれば

誰しも理解できるであろう。

レベルの高い技術を持つ人ほど

最初はゆっくりとなぞることから始まったはずであり、かつ

「ゆっくり」の期間を長く持ったはずである。

だから、人間の基礎を作る期間である子供時代、少年時代には

ゆっくり、じっくりと技を身につけることこそが大事なのである。

若い時代に身につけるべきもっとも重要な財産は

言語能力である.

言語習得を浅く,軽くおこなってしまったら,

浅く,軽い頭が出来上がってしまうのである.

“簡単に切れる頭”を創ることにも貢献してしまうであろう.

漢文,漢字のよさはゆっくり,じっくりやらざるを得ない点にある.

そこに深く思考することの初歩訓練が入っているのだし,

安定したリズムを心に刻むことができるのだし,

現代中国とは全く違って,古代中国の文章であるから

社会全体を見回す広い視野を作っていくことができるのであり・・・

と,その効用は枚挙に暇がない.

子供の性格形成は学習過程と同時並行である.

学習をどうやるか,何をやるかが

性格形成にもそのまま反映していくことを忘れてはならない.

スピードは放っておいてもついてくるもの.

携帯電話の操作を見ていれば分かるように

スピードは若者の得意技能である.

スピードがつきすぎないようブレーキを利かしてやるのが

大人の役目であろう.