不正な商品をそれと知りつつ出荷し続けていた

食品会社が世の中をあきれさせている.

いや,恐怖に陥れているというべきだろう.

この社長は,「安い商品に飛びつく消費者も愚かだ」と平気で発言し,

「従業員を全員解雇する予定だ」とさらりと言ってのける.

私が真に身震いを覚えたのは,

もし,戦場でこういう人間が上官だったらどういう恐怖を味わうのだろうか

ということであった.

随分唐突ではないかと思われる向きもあろう.

しかし,先日沖縄戦の追悼記念式典が行なわれ,

まもなく,終戦記念日がやってくる.

戦争における現場での悲劇は,

戦争そのものによる悲劇に加えて,

現場の人間関係から来る,

それゆえその現場の人間にしか分からない

人間としてより一層残酷な悲劇を生んだ点にある.

沖縄戦の残酷さの一つはそういう点にあると私は理解している.

語り継がれる,戦争の悲劇の中の美談がある一方,

戦争の悲劇をいっそう残酷にしたものもある.

その差を生んだものは一人一人の人間性であろう.

社会保険庁の無責任さに代表される日本人のレベルの低下.

もちろん,今も昔も無責任な人間,

考えられないほどに利己的な人間はいる.

今後もいなくならないであろう.

しかし,日本人の全体としての底上げを少しでも図っておくこと,

それが戦争を起こさないための,そして

悲劇を最小限に食い止めるための

最大限の方策である.