私はなかなか人に厳しくできない。

自分の弱点だと思う。

ただ、組織を率いている立場の者には

大局を考えたとき

どうしても厳しい決断をせざるを得ない場面が

少なからずあるものである。

本来厳しくできない性質(たち)の者が

厳しくせざるを得ない場面に立つときというのは

本当に辛いものである。

しかし、優しいばかりが人情ではない。

厳しくすることが長い目で見たときに

相手にとっても全体にとっても

為になるものであるなら

そうすることが本当の人情であろう。

普通は味わわなくて済む修羅場に

組織を率いる者は

何度か立ち会わねばならないものである。

自分の弱点がえぐり出される辛さがある。

しかし、そこを歯を食いしばってこそ

組織と自分の双方の成長と発展とをもたらしうるのである。

時代が優しさの時代になっている。

それだけに冷静に本質を見ながら

厳しさを保つ勇気を持ち続けたいものである。