受験の目的は第一には大学に進学することである。

しかし、受験勉強の根底には

学問への道を進んでいるという本質がある。

両者は本来一致するのであるが、

現実には一致しないことがある。

一つには大学合格のみが目的化して

学問とはほど遠い詰め込みやテクニックに走る指導者が出てくることである。

GHSでは時々この逆が起きる。

勉強が面白くなって

大学合格より、この勉強をもう少し続けたいという生徒が出てくることである。

かつて現役で早稲田大学とお茶の水大学に合格しながら

「もう少し勉強したい」と

GHSでの浪人生活を選んだ生徒があった。

彼女は一年後に東大に進学し、現在は日銀に務めて

イギリス留学中である。

早稲田を蹴るのであるから大した度胸である。

先日ある生徒と面談をした。

高校時代ずうっとサッカーをやっていて

受験では無名校でもあり

本人自身GHSに来て初めて勉強なるものをし始めたようなものである。

着実に中身を理解し、歩を進めてきているが

学習の歩みはさずがに遅い。

もう師走に入ろうとしており

志望大学の過去問で傾向を調べるなり

ある程度テクニカルな対策をやってよい時期である。

私もこの時期はそれを勧める。

ところが

彼が言うことには

「体系化学」のすばらしさに魅了されて

この本をゆっくりでもとことん極めたい。

また

『医大受験』の学習コーナーを読んで

受験科目ではないが

国語を勉強してみたい意欲があるのだ、と。

私のアドバイスは長くなるのでここでは伏せるが、

しかし、しっかりと中身に入った学習を進めて

勉強が面白くてしかたがない

と訴える生徒の目の輝きは

こちらを打つものがある。

労多いこの仕事でうれしさがこみ上げる場面である。