午前11時、
自習室にいたT君が事務室に飛び込んできた。
「先生、新潟大学医学部に合格しました!」
なんとすばらしい瞬間であろうか!
日医と日大に合格したY君とともに
今年一年自習室に籠り続けた頑張り、
そして経済的に私大医学部の受験が許されない彼の事情を知るだけに
その合格の喜びはひとしおである。
一年間の彼の努力をねぎらいながら、
陽光降り注ぐ第2教室でしばし話が弾んだことである。
T君の出身校は決して有名進学校ではない。
高3時は河合の全統記述模試で数学が半分も取れなかったとのこと。
高校の先生は
「2浪しても国立大の医学部は無理だから、私大を目指しなさい」
と助言したという。
この先生の助言は全く正当である。
過去の多くの生徒を見てきて現実を知っているからこそ
正当な助言をしたのである。
一方、T君はだからこそ熱心に予備校探しをしたのであろう。
昨年面接に来た時のことをはっきりと覚えている。
彼は私の話にすぐさま反応したことである。
その場で「ここで勉強したい!」と一緒に来たお母様に向かって叫んだ。
私の話が分かった時点ですでに奇跡を起こす資格を充分に持っていたといってよい。
そして旧制新潟高校の伝統を受け継ぐ
国立新潟大学医学部にたった一年で合格を果たした。
これは紛れもない“奇跡”である。
早速あとに続く後輩に向けて一年を振り返っての体験記を書いてくれることになった。
また新たな合格の軌跡=奇跡の物語を読むことができそうである。
奇跡は簡単に起こるものではない。
だからこそ奇跡なのだ。
しかし、正しい指導と正しい努力が噛み合えばこうして実際起こるのである。
今年新規募集の面談をしていて面白いと思うのは
話が通じる、通じないがはっきり分かれるということである。
医学部入試がこれだけ難しくなってくると
目指す資格のあるなしがはっきり分かれざるを得ない。
それはそれで仕方なかろう。
面談はいわばお見合いである。
どちらが悪いという問題ではない。
GHSと受験生との縁である。